第三回 「D-0」日本選手権 全デッキ分布 レポート
遊宝洞 前川勝
日本選手権2007 全デッキ分布
 これまでのレポートでお伝えしてきたように、名実ともに歴史に残る一戦となった「D-0 日本選手権2007」。
レポートの最後となる今回は、その激戦を彩った全参加選手のデッキ分布を解析し、「セカンド・センチュリー」の総括をお届けしておこう。

 まず、Aデッキ、Bデッキの合計を集計し、全デッキにおける多く使用された色とその組み合わせを見ていこう。

割合 解説
1.黒白 16% そのほとんどが「幽霊屋敷」デッキ。間違いなく今大会の筆頭となった。
2.3色 15% こちらも《流氷の大陸》を軸にしたデッキが9割近くを占める。中でも「赤黒青」が最多となった。
3.青緑 12% 「ドラゴンパーティー」の隆盛と「勇者ジャッカル」タイプの存在により三番手に浮上。
4.黒単 8% 《レディ・ララバイ》《ハウス・オブ・ヘル》を内包するビートダウンデッキが主流。
5.緑単 7% アンチコントロールの筆頭。サイズの大きさも要した今大会の環境を反映している。
6.黒青 7% 「ヘルジャッカル」から派生した速攻型デッキ。やはり《レディ・ララバイ》で耐性を高めた。
7.青白 6%  「グラシア」デッキが最も目立った組み合わせ。展開速度の遅さが致命的となったか。
8.赤黒 6% 優勝者使用の「デビルクロック」以外にも伝統的な除去コントロールデッキも見られた。

 上位陣は大方の予想を裏切らない組み合わせであったと言える。特に今大会は「幽霊屋敷」デッキに対応する術を備えていないデッキは軒並み飲み込まれていったと言ってもいいだろう。対策として多くのプレイヤーが備え付けていた《火事場泥棒》も、「セカンド・センチュリー」の白の大陸を象徴する2大ユニット《犬闘士チワワ》《犬闘士フェンリル》の前に封殺され、最悪の場合は《失恋の痛み》で引っこ抜かれてしまうという場面も少なくなかったはず。なおかつ多くのデッキタイプに対応できる小型一斉除去、大型除去の双方が無理なく搭載でき、そこに《サイレント・ナイト》の戦線復帰と《サイレント・マジョリティ》による山札破壊能力に白のお家芸であるベース破壊までがついてくるとなれば、多くのプレイヤーがまず「幽霊屋敷」ありきでデッキを用意してきたのも頷けよう。
だが、一方のデッキだけが優れていても勝ち抜くことができないのが2デッキ制の妙であると言える。そこで二番手以降のデッキに目を向けると次いで多かったのが、こちらもシーズン制限から帰ってきた強力なデッキタイプの一つである《流氷の大陸》を中核としたデッキタイプ。投げつけるべき大型ユニットの一角《カオスヘッド・ドラゴン》が制限されているとは言え、《時空を歪める者シュレーゲル》《ギガント・エイリアン》は健在。シーズン制限解除直後の大会環境を席巻した功績も相まって、多くのプレイヤーが日本選手権に引き連れてくる結果となった。
しかし、「幽霊屋敷」とは異なり、今大会ではなかなか上位陣に組み込めなかったのも事実である。これは、多くのプレイヤーが《流氷の大陸》対策を熟知してきたからと言えるだろう。《流氷の大陸》そのものを破壊される危うさがあるのはもちろん、《流氷の大陸》ラインに《妖魔の勇者》などが陣取ってしまうと、中央エリアにユニットを送り込むことすらためらわれ、攻め手が鈍る。それらのユニットがない場合でも中央エリアを何かのユニットで封殺されるだけで効力が半減してしまう《流氷の大陸》は、それ単体の奇襲性に頼ったプレイヤー達を、「時代は常に動いている」ということを知らしめるかのように振るい落としていった。
一方で《流氷の大陸》を中核としたデッキとシーズン制限によって数を激減させていた「レアブラスター」デッキの派生系として誕生し、オープングランプリ熊本で話題をさらった新型サイクロンデッキ「ドラゴンパーティー」は完成時期が遅めだったことも手伝ってか、使用者の数こそ三番手に甘んじたが、ベスト12に送り込まれたその数の比率を考えれば、今回のもう一つの「勝ち組」デッキと言っても過言ではないだろう。
その強さとしての特徴は《妖精竜スターフルーツ》から《深淵竜エメラルドティアー》まで連なる大型ユニットによる力押しや《サンダージャッカル》を併用した奇襲性と迎撃に対する耐性と言った「主力武器」の強さもさることながら、青緑という色の構成から《流氷の大陸》《バイオ・ブラスター》といった強力カードを「副兵装」として無理なく組み込むことができる応用力の広さが挙げられるだろう。デッキの回りや相性差などで通常の勝ちパターンが決めづらい条件下でも、内包された「隠し玉」がそれに変わって勝利をもたらしてくれるというわけだ。
グランプリや日本選手権で名を知らしめるデッキとは、最早「複数の勝ちパターン」を擁していることが必須条件となりつつあるのかも知れない。

 続いて、色別使用率を解析していこう。

割合 解説
1. 52% 全参加者がどちらかのデッキには必ず黒を用いていた計算となる驚異的な使用率。
2. 42% 単色での使用率は低いが、多色では必須とも言える活躍をみせる。
3. 36% こちらも単色は少ないが、「幽霊屋敷」や「グラシア」の要として票を伸ばした。
4. 32% 最大の特徴ともなりつつある墓地除外能力は最早どのデッキにも必須か。
5. 29% コントロールが流行った分、エネルギー加速を要しないデッキに押された傾向。

 「D-0」の大会環境は過去の戦績から「緑」ないし「黒」が大会を席巻すると言われることもあるが、その表現で評するならば、今回はまさに「黒」の勢力が大会を覆いつくしていたとも言えるだろう。これは大会筆頭の「幽霊屋敷」、「3色流氷」のいずれにおいても黒の採用率が高く、ビートダウンの性能においても《レディ・ララバイ》の登場により、他勢力を圧倒した結果の表れであると言えるだろう。
そして、それに次いだのが「青」。単体ユニットの性能はさほど高くはなく、ユニットとして活躍を見せたのは《深淵竜エメラルドティアー》《センチネル・センチピード》《深淵竜バブルドレイク》《サンダージャッカル》程度。それが証拠に単色での使用率は非常に低い。しかしながら、それらのユニットやストラテジー、ベースが他の色の強力ユニットとタッグを組んだ場合の戦闘力の増加は、時に倍以上。もはや2色以上で組むなら必ず青は選択肢の一つに組み込まれるまでに勢力を拡大した。ストーリー面でも八方美人な性格を持つ青の面目躍如と言えるだろう。
第三の色となったのは「白」。最弱の色と陰口を叩かれていたのも今は昔、ストラテジーを封印する《犬闘士チワワ》《犬闘士フェンリル》にエネルギーゾーンを封殺する《犬闘士テリア》、そして、その種族の力を借りてバトルスペースを闊歩する《犬闘士ケルベロス》……と書いてみると「白=犬闘士」的な雰囲気も漂ってくるのだが、「セカンド・センチュリー」から加わった彼らが白の価値をここまで劇的に押し上げたのも事実。《犬闘士フェンリル》のシーズン制限が解かれ、さらに磐石さを増す白は決して無視していい色ではないことだけは紛れもないであろう。
四番手に滑り込んだのは「赤」である。今大会では速攻戦術が苦戦を強いられたものの、「3色流氷」などでの採用率は依然として高く、《ステルス・スナイパー》を筆頭とする火力ユニットはもちろん、《火事場泥棒》のような墓地除外能力は今大会のように墓地を頻繁に利用する黒が台頭する環境では必須とも言える重要な能力である。今後も黒が勢力を増すその裏には、アンチテーゼとして赤の影が存在し続けることだろう。
そして意外にも採用率が最も悪かった色は「緑」であった。これは、単色での使用率こそ黒に次ぐものの、「ドラゴンパーティー」を内包する青以外の他の色との組み合わせが極端に低かったことに由来する。大きな利点であるエネルギーブーストも、全体が後半に勝負を仕掛ける形になった今大会のような環境では一部のデッキタイプを除いては重要視されなかったようだ。しかしながらその使用率は決して低いというわけではなく、相対的に若干数を減らしているに過ぎず、今後の環境次第では十分逆転するだけの力を持った色であることを忘れてはならない。

 この結果を鑑みたDPAからは、上位2色の中心となったカードである《レディ・ララバイ》《陽気な幽霊屋敷》《深淵竜エメラルドティアー》《センチネル・センチピード》がシーズン制限カードに指定された。それだけに留まらず、多色カードが採用される「サード・センチュリー」の環境は確実に、今大会までに築かれてきたミリタリーバランスを大きく崩す結果をもたらすことだろう。
一体どの様なデッキが大会環境を席巻するのか。現時点でそれを知る者はいない。
それ故に、11月10日から予選が開催される「グランプリ‐7‐ツアー」においては、新たにプロを目指すプレイヤー達がトッププレイヤーを下す場面も珍しくはないであろう。
新たな発想、誰も気づいていない着想で生み出される強力デッキが如何様な結果を残してくれるのか。それが各地域によって異なるのも全国を縦断する「グランプリツアー」の醍醐味であるとも言える。
これまで様々な理由でグランプリの参加機会を逃していたプレイヤーは奮って参加してもらいたい。そして、よい意味で皆の度肝を抜いてくれることを期待している。



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