第四回 「D-0」日本選手権 決勝トーナメントレポートレポート
遊宝洞 前川勝
本選から一夜、まさに台風一過の快晴と静けさの中に、12人の選ばれし英傑達は集結した。
300万の行方はいよいよこの12人のいずれかに絞られたのだ。
この緊張を前に、綿密な調整とプレイングの確認を繰り返した者もいれば、眠れぬ夜を過した者もいよう。だが、泣いても笑っても勝者は一人。
ジャッジによる入念なデッキチェックを受けながら、刻々と迫る第一試合開始の合図。
若き決闘者達にとっておそらく人生史上、最も長い一日が静かに幕を開けた……。

・第1回戦第二試合 岡谷亮佑(本選5位通過)VS脇田智将(本選12位通過)

本選の1位〜4位がシード権を保持する日本選手権決勝トーナメントはまず下位8名によるサバイバルからスタートする。その第一回戦は本選を「ドラゴンパーティー」「幽霊屋敷」で抜けてきた岡谷とグランプリ‐6‐において3位入賞の実績を持つ脇田との対決となる。
岡谷は数多くの賞金制大会に参加し続けてきたが、ここまで上りつめるのは初めての経験であり、決勝トーナメント進出の経験を持つ脇田は彼にとって確実に格上のプレイヤーである。
このような状況で最も求められるのは「頑張ろう」と自分を鼓舞することではなく、「気楽に行く」こと。
言い方を変えれば、「平常心を保つこと」である。それこそが常に最上のプレイングを約束してくれる。
果たしてこの両雄のうち、「平常心」でプレイできたのはどちらのプレイヤーだったのだろうか……。

1本目 Aデッキ   青緑ドラゴンパーティー(岡谷)  VS   赤黒青流氷(脇田)

お互いのデッキが終盤に勝負を決めるデッキではあるが、ここまでのレベルになってくると序〜中盤までのゲームのコントロール権争いも熾烈を極めたものになる。
まずはエネルギーを貯めながらプランを更新し、順調に《妖精竜スターフルーツ》を1枚、《深淵竜エメラルドティアー》2枚引き当てる岡谷。ドローの流れは悪くないようだ。そこで彼は中央ラインに《シークレット・ベース》を展開。続くエネルギーブーストを期待する。
しかし、脇田もただ黙って見ていたわけではもちろんない。ここですかさず《失恋の痛み》を放ち、岡谷が抱えていた2枚目の《シークレット・ベース》を落とすことで、その能力が発動されるのを見事に阻害する。常々2ターン目プレイが最良と思われがちな《失恋の痛み》であるが、今回のようなケースの場合は脇田の使い方がベスト中のベストであると言えるだろう。
思惑を狂わされた岡谷であったが、まだ根幹のパーツが破壊されたわけではない。プランから《妖魔の勇者》をプレイ。続くターンで《スキップするフェアリー》をプレイし、エネルギーブーストに成功。語らぬ二人ではあるが、その間には岡谷有利の空気が流れ始める。
その空気を払拭したい脇田は岡谷のターンで《妖魔の勇者》《深淵竜翻る》をプレイし、続くターンで《流氷の大陸》を中央ラインにプレイし、いつでも攻撃態勢に入れる形を整える。
対し、岡谷は《スキップするフェアリー》を前進させ、対応し難い《流氷の大陸》からの中央エリアへのリリースインをブロック。プランから《粉雪の魔氷パウダースノー》を手札に加え、脇田が奪い返そうとする主導権を再び自分の方へと引き戻す。
これで脇田が攻め手を失ったと見た岡谷は自身も《流氷の大陸》をプレイする。すると、ここで脇田がらしくないプレイングミスを犯す。
脇田はこの《流氷の大陸》のプレイに対し、渡された優先権を放棄してしまったのだ。それがどの様な意味を持つのか。これを読んでいる皆さんにはお分かりだろうか?
そう、ここで《流氷の大陸》のプレイを解決させてしまうと、先ほど食い止めたはずの《シークレット・ベース》の能力が有効になり、《流氷の大陸》ラインを封鎖している《スキップするフェアリー》を迎撃すると、岡谷のエネルギーブーストを手助けする結果になってしまうのだ。
小さなミスとは言え、悪手は悪手。仕方なく、その後に《粉雪の魔氷パウダースノー》《スキップするフェアリー》を排除した脇田だが、《スキップするフェアリー》は岡谷のエネルギーゾーンへスキップしてしまう。
このミスが契機となったか、岡谷はさらに調子を上げ、《人面鳥の止まり木》で手札を増強。2枚目の《スキップするフェアリー》でダメ押しのエネルギーブーストが掛かる。
一方の脇田はプランから有効な対応をしたいところだが、好機を逸した影響か、動くことができない。
それを受けた岡谷は再び《スキップするフェアリー》を中央へ進め、スマッシュを入れ始める。
岡谷の豊富な手札とエネルギーを前に、迂闊に先に動くことができなくなってしまった脇田を前に、岡谷は《深淵竜エメラルドティアー》をプレイし、盤上のコントロール権も手中に収める。
さらにプランに見えた《フェアエル・パーティー》を引き当てた岡谷。最早その勢いは止まらないかに見えたが、脇田にも決勝に残った意地がある。
2枚目の《失恋の痛み》を放った脇田は岡谷の《フェアウェル・パーティー》を落とし、さらに《真夜中のダンスパーティー》《深淵竜エメラルドティアー》に放つ。
そう、彼もまだ勝負を投げたわけではないのだ。岡谷は渋々ながら、《深淵竜翻る》を自身の《深淵竜エメラルドティアー》に打ち、手札に戻す。
しかし、まだエネルギーに余力を残していた岡谷。これ以上の有効な迎撃手段はないと読み、自身の《流氷の大陸》から《エビエージェント》を敵軍エリアに送り込み、《エビエージェント》自身の闘気を廃棄することで、《深淵竜翻る》を手札に戻す。対する脇田も対応して《粉雪の魔氷パウダースノー》に闘気を付けさせる(無論、先に《妖魔の勇者》に打った、自身の《深淵竜翻る》を回収するためである)。
こうして岡谷は計4スマッシュを叩き込み、脇田を追い詰める。
返しの脇田。《粉雪の魔氷パウダースノー》の闘気を破棄し、《深淵竜翻る》を回収。3枚目の《失恋の痛み》で岡谷の《深淵竜エメラルドティアー》を落とし、《エビエージェント》《レディ・ララバイ》《スキップするフェアリー》《粉雪の魔氷パウダースノー》前進で排除し、場を更地に戻すが、ここまできては一度傾いた勢いはもう止まらない。
それを体現するかのように岡谷の手札に来た《変幻獣バブルドラゴン》。これを敵軍エリアまで送り込んだところで、脇田最後の抵抗《深淵竜翻る》《深淵竜エメラルドティアー》へのドラゴン変化で無効化し、岡谷が1勝を挙げる。

2本目 Bデッキ  白黒赤幽霊屋敷(岡谷)  VS   青緑ドラゴンパーティー(脇田)

1本目の流れをずるずると岡谷に譲り渡す形になってしまった脇田。2本目もその調子を引きずってしまったのか、序盤から《バードマン・ソウル》を2枚も握りこんでしまう展開に、眉をひそめる。しかし、このまま引き下がっては終われない。《サイバー・チェイス》で山札をコントロールし、プランからの《食物の連鎖》プレイで冷静にエネルギーと手札を増強する。
一方の岡谷は「幽霊屋敷」デッキの特徴に合わせ、ゆっくりと、しかし確実に勝利への条件を積み上げていきたいところ。《陽気な幽霊屋敷》《犬闘士フェンリル》をプレイし、残ったエネルギーで《失恋の痛み》。脇田のユニットの中で最も除去し難い《深淵竜バブルドレイク》を早々に墓地に送ることに成功する。
切り札の一つを手痛く失った脇田は岡谷にこれ以上時間を与えるのは得策ではないと考え、手札とプランから《象砲手バルカン》を場に出す。岡谷の動きに対していつでもスマッシュを与えていける状況を整え、プレッシャーを掛けていく。
しかし、ターンを返された岡谷のデッキには当然の如く、《イビルアイ・ドライバー》が3枚搭載されている。そのため、《象砲手バルカン》程度では容易に攻め落されることはない。まだ慌てて防御に回る必要はないと判断した岡谷は2枚目の《失恋の痛み》で、脇田の《サンダージャッカル》を落とし、ゲームのコントロール権を奪いにいく。このコントロール権を掌握するのがどれだけ重要であるかは、既に本選レポートに目を通した読者諸氏、ならびにプロプレイヤーの皆様ならば御理解いただけるだろう。
だが、そのコントロール権を強引に力で引き戻したのが脇田だった。続くターンで岡谷が最も警戒していた「幽霊屋敷」デッキの天敵《深淵竜バブルドレイク》をプランからプレイすることに成功したからである。
《ナイトベア》を手札に抱えていた岡谷ではあったが、この神竜だけは一度場に出てしまうと除去が難しい。その前のターンに放った《失恋の痛み》も、本来はこの《深淵竜バブルドレイク》を落とすために放ったと言っても過言ではないだろう。
この機を逃したくない脇田。《深淵竜バブルドレイク》がリリースしたターンでさらにプランから《深淵竜エメラルドティアー》をプレイし、一撃で決めに掛かる体勢に移行する。
一方の岡谷、《ナイトベア》《深淵竜エメラルドティアー》を迎撃し、続くターンで《犬闘士ケルベロス》をプレイ。前に出てきていた《象砲手バルカン》を倒すとともにスマッシュを与え、盤上のユニット数で脇田を上回ることで再びコントロール権の奪取を目論む。
脇田には、この《犬闘士ケルベロス》を処理する手段がユニットの中央投下しかない。プランからの《象砲手バルカン》《カオスビースト・ナインテイル》で除去したところでエネルギーを使いきる。
風が戻ってきた岡谷。プランからの《ステルス・スナイパー》で奥に控えていた2枚目の《象砲手バルカン》を焼殺。依然として《深淵竜バブルドレイク》が控えている状況ではあるが、《ナイトベア》でスマッシュを与え、スマッシュとコントロールのいずれでもとどめをさせるように自軍の指揮を執っていく。
最早この段階に至っては、お互いの間でやり取りされるのは「ターン」や「優先権」ではない。相手に渡ったゲームの支配権の争奪である。返しのターンの脇田はプランから《バイオ・ブラスター》を引き当て、さらに《妖魔の勇者》《ナイトベア》の眼前に展開。《バイオ・ブラスター》を起動して《深淵竜エメラルドティアー》で盤面を押し戻し、さらに岡谷のわずかな白エネルギーを完全に縛り付ける。岡谷は何とか《妖魔の勇者》《ナイトベア》と手札からの《ステルス・スナイパー》投下で打ち倒すが、脇田は次ターン、1プランで《妖精竜スターフルーツ》を召喚。《深淵竜バブルドレイク》でスマッシュを叩き込みつつ、エネルギーから2枚目の《妖精竜スターフルーツ》を呼び出し、バトルスペースを神竜の軍勢で埋め尽くす。
通常ならば、これで完全に脇田に天秤が傾いたと見るべきだが、次のターンの岡谷も負けてはいない。プランから《サイレント・ナイト》が見えたところで、手札に抱え続けていた《陽気な幽霊屋敷》セットの残りパーツをプレイ。即時起動→《サイレント・ナイト》で再度設置→即時起動の早業で、《深淵竜バブルドレイク》を脇田の手札へ、《妖精竜スターフルーツ》2枚をエネルギーゾーンへと押し返す。
舌を巻くプレイングと強運で簡単には勝たせてくれない岡谷に苦しむ脇田だが、まだ肝心要の《深淵竜バブルドレイク》は失っていない。その能力の恩恵によって即バトルスペースへと舞い戻り、スマッシュで岡谷の命を削っていく。
一方の岡谷は《深淵竜バブルドレイク》への対処法をプランに求めるが、有効手は見つからない。次のターンのスマッシュを避けようと、《陽気な幽霊屋敷》の能力で回収した《ナイトベア》で再び手札に戻すのがやっとであり、脇田が追撃で繰り出した《蜘蛛の巣をまとうフェアリー》に対しての迎撃は《サンダージャッカル》で回避されてしまい、6スマッシュに追い込まれる。
苦しむ岡谷は最早プランに頼る他に手はない。流れを引き戻すには《サイレント・ナイト》が必要であったが、岡谷のデッキはその期待には応えてはくれず、あえなく岡谷は投了を宣言する他なくなる。

3本目 青緑ドラゴンパーティー(岡谷) VS 青緑ドラゴンパーティー(脇田)

緒戦から最終戦にもつれた決勝トーナメント。3本目にお互いが選んだのは奇しくも同系の「ドラゴンパーティー」。岡谷にすれば、《深淵竜バブルドレイク》に対する対処がない「幽霊屋敷」を見限った選択であり、脇田にとっては1本目の敗退とベース破壊を搭載している「幽霊屋敷」に対する「流氷」デッキの脆さを嫌っての選択と考えられるだろう。
デッキ構成が互角となれば、後は「運」を含めた実力において、どちらが上回っているかが勝負の分かれ目である。
序盤でまずその片鱗を伺わせたのは2本目を征した脇田だった。序盤における最大の脅威《大巨人クレーター・メーカー》を中央投下し、岡谷のエネルギーを削るばかりか、自身は《食物の連鎖》でブーストし、プランからユニットを展開するという、実の伸びやかなプレイを見せる。
一方の岡谷は脇田の展開力から、神竜が登場する依然に勝負を決せられる匂いを感じ、悩みながらも《スキップするフェアリー》を使用して失ったエネルギーアドバンテージを取り戻すことを選択する。
それを見た脇田は完全に速攻にシフト。手札から《象砲手バルカン》を2枚プレイし、続くターンで《象砲手バルカン》《サンダージャッカル》の能力を絡めて進軍させようとする。
しかし、ここでスマッシュを喰らってはいられない岡谷は《サンダージャッカル》の能力解決にスタックして《妖魔の勇者》をプレイして足止めをし、前に出た《象砲手バルカン》《濃霧の魔氷フォッグ》で対処。攻めに転じた脇田としては《象砲手バルカン》でスマッシュを食っている分だけ苦しい状況となる。
相手の思惑を上手く崩した岡谷は《スキップするフェアリー》を前に出して脇田をけん制する。対する脇田に最早後退は許されていない。残存戦力のパワーがいかに脆弱であろうとも《サンダージャッカル》でスマッシュを狙って攻めこみ、1スマッシュを返す。
しかし、その程度の反撃では既に岡谷の優位は崩せない状況に差し掛かっていた。岡谷は《深淵竜翻る》《象砲手バルカン》を脇田の手の中に戻し、《妖魔の勇者》でさらにスマッシュを重ねていく。
こうなると大型ユニットでの一発逆転を狙うしかない脇田はエースユニット《深淵竜バブルドレイク》に一縷の望みを託すが、岡谷はこれのスマッシュを2枚目の《深淵竜翻る》で防ぎ、自らは《変幻獣バブルドラゴン》を召喚。
延長ターンに突入するまでに至った激戦も、その《変幻獣バブルドラゴン》《深淵竜エメラルドティアー》に姿を変えたことで決着を迎えた。

(この試合の見所)
勝負においては目に見える戦局の他に「どちらがゲームそのものをコントロールしているか」を知らせるサインが時折顔を覗かせることがある。本文中ではそれを「ゲームのコントロール権」と表わしているが、トッププレイヤーが競って争うのはスマッシュの数ではなく、この権限の奪取なのだ。
それを主眼に見れば、1本目は、《流氷の大陸》を上手く封じた岡谷が「コントロール権」を終止握り続ける形になっていたし、2本目中盤の争奪戦は決勝ならではのハイレベルなものとなった。
3本目は脇田の攻めに転じた捨て身のプレイを上手く逆手に取った岡谷がゲームを征した、というわけだ。
この点を意識しているプレイヤーとそうでないプレイヤーでは、実力に雲泥の差が出てくる。
1つのデュエルが終わったら、対戦相手とともにその対戦を振り返ってみるのは一番の教材になるだろう。
もしかしたら君が負けてしまった原因は考えなしに行なった1プランが原因……なんてことが発見できるかも知れない。


・準々決勝第一試合 高橋成典(本選1位通過) VS 三輪敏春(本選9位通過)

いよいよベスト8が出揃い、本選上位のプレイヤー達が戦いの場に向かう。
その注目の一戦は本選1位通過の高橋と、緒戦を見事勝ち上がってきた三輪の対決。
高橋は前日同様の強さを冷静に発揮できるか。さもなくば勝利の波に乗った三輪が下克上を果たすことになる……。

1本目 Aデッキ   白黒幽霊屋敷(高橋)  VS   緑単ビート(三輪)

高橋がAデッキに選択したのは多くのプレイヤーが使用した「幽霊屋敷」。対して、三輪が持ち込んできたのはスピードで俄然勝る緑単デッキ。三輪が勝つには早い段階で高橋に致命傷を与えるしかない。いずれにせよ「勝負の行方」は数ターンの攻防で決せられるだろう。
注目の序盤。三輪は中央へ「呼声」ユニット《幻惑のフェアリー》をプレイした次のターンに手札から《象砲手バルカン》をプレイ。緑単の定番にして理想形の立ち上がりを見せる。さらに続くターンでは《大巨人クレーター・メーカー》を中央投下。《犬闘士チワワ》しかプレイしていない高橋を突き放していく。
その有利な時間の間に、三輪は2枚目の《象砲手バルカン》を再び手札からプレイし、1枚目の《象砲手バルカン》でのスマッシュを開始する。
このまま三輪に流れが傾き続けていくかに見えたデュエルであったが、2枚目の《象砲手バルカン》の前進に対し、とうとう高橋が反撃。《レディ・ララバイ》を眼前のスクエアにプレイすることでそれ以上の前進を食い止める。
このままでは貴重な攻め手の《象砲手バルカン》を失うことになる三輪は何とか《彷徨う山脈》《レディ・ララバイ》と対峙した《象砲手バルカン》の後方にプレイ。最悪のパターンは何とか回避できる状況を形成し、2スマッシュを与える。
ターンを返された高橋。左右ラインから攻めてきている《象砲手バルカン》にいかに対処するかを問われたところで《彷徨う山脈》を後ろに抱えた《象砲手バルカン》を避けるように《レディ・ララバイ》を中央ラインの中央エリアのスクエアまで移動。なんら支援を受けていない、もう一方の《象砲手バルカン》《陽気な墓場》の支援を加えた《犬闘士チワワ》で踏み倒し、スマッシュを返していく。
次の三輪のターン、三輪は《レディ・ララバイ》を除去すべく、《象砲手バルカン》に対し《彷徨う山脈》を起動する。その行動を読みきっていた高橋はそれにスタックし、《犬闘士テリア》を投下。《レディ・ララバイ》のマイナス修正を加えて、相打ちを狙う。
しかし、そう来るであろうことは三輪も織り込み済み。《犬闘士テリア》のプレイにさらにスタックし、《斑竜城メガロ》《レディ・ララバイ》にぶつけ、これを除去。高橋の迎撃を空振りさせる。その後、プランから「バードマン・ソウル」が見えた三輪は《象砲手バルカン》のサイドステップで《犬闘士チワワ》を倒し、手札を獲得するとともに4スマッシュ目を与える。
先の迎撃が失敗に終わったのが痛い高橋。プランからの《イビルアイ・ドライバー》《象砲手バルカン》は葬るが、それ以上の手が打てない。
一方の三輪はこのターン、プランが冴えわたる。まずは《小さくて大きな力》でエネルギーブースト。続いて《バーサーカー・ドラッグ》《幻惑のフェアリー》に打ち込んで手札に抱え、《幻惑のフェアリー》の移動スタックで最後の《象砲手バルカン》《彷徨う山脈》ラインにプレイ。さらにその次に見えたプランは「隊列召喚−ビッグアイ」を持つ《ガン・ドリアード》《幻惑のフェアリー》《彷徨う山脈》ラインの敵軍エリアまで進め、見事「隊列召喚」でこれをプレイする。
何とかこの動きを阻害したかった高橋ではあるが、手札に握りこまれた《バーサーカー・ドラッグ》に背後の《彷徨う山脈》と構えられては、ユニットを犬死にさせるだけである。6スマッシュと追い込まれ、返しのターンに有効手を打てないと悟った高橋は投了を宣言。
本選無敗を誇った高橋の「幽霊屋敷」に三輪が土をつける形になり、這い上がってきた者の勢いを見せつける。

2本目 Bデッキ  黒赤デビルクロック(高橋)  VS   赤黒青プランコントロール(三輪)

先制された高橋は敢えて後攻を選択して試合をスタート。手始めに《不思議時計ワンダーラビット》をプレイする。
対する三輪はコントロールデッキのお約束《失恋の痛み》を放つが、相手は「デビルクロック」。《貪欲時計デーモンガスト》の回収対象となるカードは選ぶことができず、仕方なく《封印》を選ばされる。
続くターン、高橋と三輪はそれぞれ《ペット・セメタリー》をプレイし、三輪に至っては2枚目の《失恋の痛み》を放ち、《シルバーワイズ・ドラゴン》を落とす。
しかし、高橋のキーカードはあくまでデッキの中で眠っている《貪欲時計デーモンガスト》。落とされたカードには目もくれず、相手のターン中に2枚目の《ペット・セメタリー》《悪運時計ハードラック》をプレイする。
対する三輪は《サイバー・チェイス》を使用し、手札の増強と調整を試みるが、高橋はそこで《ペット・セメタリー》を起動。三輪が手札を増やすことを許さない。
真綿で締め付けられるようなプレッシャーに苦しむ三輪は高橋のデッキに対しての対抗策《火事場泥棒》をプランから引き当てるが、肝心の「デビルクロック」が墓地に見当たらず、現状でのプレイを控え、スマッシュに落とされることを警戒し、プランの更新によって墓地に落とした《センチネル・センチピード》を山札に戻し、シャッフルする。
一方の高橋はさらに三輪を追い詰めるべく、《肉食時計ビッグマウス》をプレイし、《悪運時計ハードラック》を前進させる。
対する三輪はプランから《ステルス・スナイパー》を中央エリアの《悪運時計ハードラック》に投下。ユニットの1対2交換を狙うが、これは高橋が誘った罠。《ステルス・スナイパー》の能力にスタックし、《肉食時計ビッグマウス》《シルバーワイズ・ドラゴン》に変化。対象不適切でダメージをかわされた上に、墓地に落ちた《ステルス・スナイパー》《シルバーワイズ・ドラゴン》の能力によって、ゲームから取り除かれてしまう。
高橋は続いて《呪われた館》をプレイ。しかし、積極的に動くことはせず、あくまで墓地に落ちた《ステルス・スナイパー》《イビルアイ・ドライバー》《センチネル・センチピード》達を適宜ゲームから除外し、三輪の戦略を崩していく。
何とか高橋に支配されつつある空間を打破したい三輪は《イビルアイ・プリンセス》をプレイするが、その次の高橋のターンに恐れていた《貪欲時計デーモンガスト》がプランに登場。「デビルクロック」の中央投下で手札を大きく回復する。
これで展開が大きく傾いたと焦ってしまったのか、三輪はその返しのターンで《失恋の痛み》をプレイしてしまうプレイングミス。
手札にある厄介なユニットを無力化させるのが狙いで打った《失恋の痛み》だが、今はまだ高橋のプランゾーンに《貪欲時計デーモンガスト》が控えているのだ。結果、三輪は《絶叫時計スクリームハイ》を落とすが、高橋に優先権が渡ったところで《不思議時計ワンダーラビット》《呪われた館》ラインに投下され、回収+手札破壊の手痛いコンボを返される。
そして、高橋は《絶叫時計スクリームハイ》をプレイ。三輪へのプレッシャーはさらに高まっていく。
対する三輪は頼みの綱である《イビルアイ・プリンセス》を失うわけにはいかない。一旦サイドステップをさせ、自身の闘気を破棄。手札破壊で失った《シュレジンガーの猫》を手札に回収し、万一の除去に備える。
相手が攻め手を欠いたことを見切った高橋はここでいよいよ進軍を開始。《不思議時計ワンダーラビット》でスマッシュを与える。
対する三輪も《イビルアイ・プリンセス》で進軍を開始。再び闘気を外して今度は《深淵竜翻る》を回収しようとするが、このゲームを支配しているのは既に高橋。スタックで《ペット・セメタリー》を起動し、さらには《呪われた館》ラインに手札の《不思議時計ワンダーラビット》を中央投下。これにより、計3枚の三輪の手札が破壊され、そこに高橋がとどめの《火事場泥棒》。計算しつくされて計10枚の墓地のカードをゲームから取り除かれた三輪は回収が失敗に終わるとともに1スマッシュを喰らう。泣きっ面に蜂とはまさにこのこと。
仕方なく三輪は《イビルアイ・プリンセス》の能力で眼前の《絶叫時計スクリームハイ》を抹殺し、2スマッシュを返す。
次のターン、高橋は《シルバーワイズ・ドラゴン》を中央に進め、先行していた《不思議時計ワンダーラビット》とともにスマッシュを狙う。三輪は被害を最小限に食い止めるため、《不思議時計ワンダーラビット》《イビルアイ・プリンセス》の能力で墓地に送るが、3スマッシュ目を貰ってしまう。
何とか自分のペースを取り戻したい三輪は《イビルアイ・プリンセス》をサイドステップ。厄介な《シルバーワイズ・ドラゴン》をいつでも倒せる状態にした上で高橋に優先権を渡す。
しかし、これも十分想定していた高橋。一計を案じ、《悪運時計ハードラック》《イビルアイ・プリンセス》に対して投下する。パワーは7000対5000。高橋のこのプレイを「おそらく2枚目の《悪運時計ハードラック》か何かで除去をしようとしている。ならば、能力の起動は慌てて行なう必要はない」と判断したのであろう。これを了承してしまう。
しかし、その三輪の誤った判断こそが高橋の真の狙いであった。バトルに突入したことを確認した高橋はここで《封印》《イビルアイ・プリンセス》を対象にプレイ。三輪の目論見は砕け散り、《イビルアイ・プリンセス》は志半ばで散華する。
返された優先権で三輪はプランから《イビルアイ・ドライバー》をプレイし、《シルバーワイズ・ドラゴン》の除去には成功するが、エネルギーを消耗させられ、迎撃の手立ては残っていない。
高橋は2枚目の《肉食時計ビッグマウス》で悠々とスマッシュ。派手さはないが、確実に三輪を追い詰める。
反撃に出たい三輪は《イビルアイ・ドライバー》を前進させ、《肉食時計ビッグマウス》を倒すが、そこは《呪われた館》のライン上。手札を1枚破壊された上に《悪運時計ハードラック》が追い討ちを仕掛ける。
唯一のユニットを失いたくない三輪は《シュレジンガーの猫》《イビルアイ・ドライバー》を一時ゲームから除外。最後の手札《火事場泥棒》で高橋に1スマッシュを返すが、次ターン、高橋の2枚目の《シルバーワイズ・ドラゴン》とプランからの《ステルス・スナイパー》により《イビルアイ・ドライバー》を一気にゲームから取り除かれ、完膚なきまでにゲームをコントロールされ続けた三輪は万策尽きたことを確認し、投了を宣言する

3本目 白黒幽霊屋敷(高橋)  VS  赤黒青プランコントロール(三輪)

3本目までもつれたこの試合。
高橋は先ほど敗れこそしたものの、安定性と勝ち手段の豊富さに長ける「幽霊屋敷」を選択。対する三輪も得意のコントロールデッキで応戦する。
序盤、《陽気な幽霊屋敷》を幸先よくプレイする高橋に対し、三輪も《欲望の連鎖》をプランからプレイ。展開上は互角のスピードに見えるが、三輪の《ペット・セメタリー》を高橋の《神々の雷》が破壊するなど、若干2本目の勝負の流れを引きずっているかに見受けられる。
それが証拠に高橋のプランからはキーカードの一つ《サイレント・マジョリティ》がお目見えする。
本来ならばそれを渡したくはない三輪だが、スマッシュする手段がない今は自身のペースを乱すわけには行かない。《サイバー・チェイス》などを駆使し、コントロール体制を整えんと奮戦する。
一方、快調な高橋は《陽気な森》をプレイ。その後にプランからの《失恋の痛み》で天敵である三輪の《火事場泥棒》を落とすことに成功する。
対する三輪は再び《欲望の連鎖》をプランからプレイ。だが、ドローカードの回りはいいものの状況を打破するカードを引っ張り込むことができない。
そんな三輪を尻目に《サイレント・ナイト》を握った高橋は《サイレント・マジョリティ》をプレイ。三輪の命とも言える山札を削り取ってゆく。
反撃にまわせる時間がそう長くないことを悟った三輪は再び高橋のプランに《サイレント・マジョリティ》が見えたところで、手札から《イビルアイ・ドライバー》をプレイ。キーカードを埋めるべく、前進する。
高橋はこのスマッシュにより、《サイレント・マジョリティ》を失うが、《犬闘士チワワ》をプレイし、真に警戒すべき《火事場泥棒》を再び封印する。
そして続くターンで《陽気な墓場》がプレイされ、《陽気な幽霊屋敷》セットが完成。三輪の動きは大きく制限されることになる。高橋がプレイする《犬闘士フェンリル》などをプランからの《イビルアイ・ドライバー》などで除去することはできるが、それはあくまで高橋に「させてもらっている」だけで、自身が主導権を奪ったわけではない。三輪のユニットの生殺与奪権は高橋が握っているのだ。
次ターン、高橋は《陽気な幽霊屋敷》を起動。落とされた《犬闘士フェンリル》らを回収するとともに三輪の《イビルアイ・ドライバー》を除去。すぐさま《サイレント・ナイト》で再設置を行なう。
一方の三輪は手札にある《ステルス・スナイパー》を中央投下し、山札に戻すことでコントロール要素を増強。彼もまだ勝負を捨ててはいない。その判断が功を奏し、次のターンにはプランから再度登場した《ステルス・スナイパー》《犬闘士チワワ》を除去する。
一方で高橋はプランに見えていた《フロッグナイト・タクティクス》をドロー。いつでも《サイレント・マジョリティ》を打てる状態でそのタイミングを待つ。
それを見せつけられた三輪に残された時間は少ない。三輪は《イビルアイ・プリンセス》をプレイし、攻勢に転じようと画策する。高橋は無論これを《ナイトベア》で狙い打つが、三輪は《シュレジンガーの猫》でこれを見事回避する。
こんなところで攻勢に出られたくない高橋は《失恋の痛み》をプレイ。三輪はそのスタックで《火事場泥棒》をプレイし、懸念となっていた墓地の《サイレント・マジョリティ》をゲームから取り除く。
これを受けて高橋。2枚目の《ナイトベア》を中央投下し、《イビルアイ・プリンセス》を除去し、1枚目の《ナイトベア》を進め、スマッシュで山札を削る。
それでも諦めない三輪。2枚目の《イビルアイ・プリンセス》をプレイし、《ナイトベア》を倒すが、高橋のプランからは再び《サイレント・ナイト》
高橋は《陽気な幽霊屋敷》を起動し、2枚の《ナイトベア》を手札に戻し、三度《陽気な幽霊屋敷》セットを配置する。
諦めたくはない三輪だったが、さすがに2枚の《ナイトベア》《陽気な幽霊屋敷》の前では身動きをとることができない。
やがて、高橋が引いてきた《サイレント・マジョリティ》が長い三輪との戦いに決着をつけた。

(この試合の見所)
今回は2本目で見せた高橋のコントロール能力の高さに注目をしたい。
A、Bデッキをともにコントロールタイプで固めてきた高橋だが、2本目の勝負は高橋のターンが延々と続いているのかと錯覚するほど、静かにしかししっかりと計算されたプレイングで三輪のプレイングミスを誘うまでに至っている。
今大会ではほぼ同系はいなかったと見られる、この「デビルクロック」デッキであるが、実際に構築を開始したのは大会のわずか一週間前だと言うのだから恐れ入る。
しかしながら、《肉食時計ビッグマウス》をこれほどまでに使いこなしたプレイヤーは他にいないであろう。
もしかしたら、一度も使ったことがないというプレイヤーも中にはいるのではないだろうか?
すべてのカードには等しく勝利の可能性が散りばめられている。注目を集めているカードばかりを見るのではなく、「このカードで何が出来るか」をどれだけ想像できるかという能力も、トッププレイヤーの条件の一つと言えるだろう。



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