王者への道標〜メタゲームの変遷を考える〜

フォース・センチュリーの発売も間もなくに迫り、新弾環境で行われる「日本選手権2008秋」の足音が近づく昨今。全国を回る「ツアートライアル」や「ジャッジファイナル」を勝ち抜き、最強の頂への挑戦権を勝ち取ったプレイヤーは日々、デッキとプレイングの研鑽に余念のないことと思われます。
しかし、あまりにも強力なデッキの台頭を見て「何だ、結局ひとつのデッキタイプでしか楽しめないのか」と興をそがれ、その後の研究をないがしろにしてしまっているプレイヤーはいませんか?
「D-0」は一つのデッキタイプで勝ちあがれるような、単純な競技ではありません。
今回はIII-4環境を題材に、強力なデッキタイプの変遷を時系列に沿ってみていきましょう。

  「サード・センチュリー」は「進撃」、「共鳴」に代表されるように敵軍エリアに素早く攻め込んで殴り倒す、いわゆる「ビートダウン」型のデッキタイプが台頭した時代でした。
実際にグランプリにおいても赤緑を中心とした「ビートダウン」型のデッキは多く見られ、その中でも様々なバリエーションが存在したため、これに対処できないデッキは次々と淘汰されていきました。

III-4では、先行公開から話題をさらった《ラッパ・ドリアード》を始めとする「敵軍エリア」に影響するカードが多数収録。早速、新型の赤緑「ビートダウン」型デッキが一大勢力を築きました。



弾数 カードNo カード名称 枚数
メインデッキ
■赤 ユニット
I-4 007 ステルス・スナイパー 3
III-3 001 フレイム・フライ 3
III-4 006 制圧戦鬼煉獄丸 3
■赤 ストラテジー
II-2 019 ニトロ・カタパルト 2
■青 ストラテジー
I-4 103 バードマン・ソウル 3
■緑 ユニット
III-1 124 スカラベマスター 3
III-1 125 兎娘キューティ・バニー 3
III-3 058 スカルライカン 3
III-3 067 スカルジャイアント 2
III-4 061 ラッパ・ドリアード 3
■緑 ベース
III-1 140 精霊の迷い家 1
III-3 068 花咲く結界 2
■緑 ストラテジー
I-4 105 小さくて大きな力 3
■緑赤 ユニット
III-2 097 変炎獣ゲルハーピー 3
III-3 096 変炎獣ゲルトロール 3
合計枚数 40
サイドデッキ
■赤 ユニット
III-2 010 魔甲ドーザー土竜 1
III-3 002 クラッシング・パペット 2
■赤 ストラテジー
I-2 019 ノヴァ・コマンド 2
II-2 019 ニトロ・カタパルト 1
■緑 ユニット
III-2 069 妖魔の詩人 3
III-3 101 変幻獣バブルホリプパ 1
合計枚数 10



 上のデッキは、多くのプレイヤーが完成させた通称「ラッパ・ビート」と呼ばれるデッキです。中でもツアートライアル関西大会を制した、「今最も頂点に近い男」生田瑛二プロが使用したデッキをサンプルとしてみました。
  低コストのユニットを即時敵軍エリアに突っ込ませ、《ラッパ・ドリアード》《制圧戦鬼煉獄丸》で強化。相手が反撃を試みれば、それに合わせて突っ込ませたユニットを《スカルジャイアント》のコストに転換。相手のエネルギーを束縛してフィニッシュを決めるのが必勝のパターンとなります。
  無論、誰もがこのデッキを使えば勝てるというわけではありませんが、反撃すら妨害が出来るようになった圧倒的な攻撃力は多くのプレイヤーに衝撃を与えました。
  このデッキが開発されて以後、多くの大会で同様のデッキが使用される機会は増え、同系デッキ同士での戦いも少なからずみられました。

  しかし、このデッキとて完全無欠であるわけではありません。
  このデッキは攻撃力とスピードに特化したため、序盤からの攻勢を凌がれ、守勢に回らねばなくなった場合には、ほとんど対処する手が存在しません。その防御力の薄さは、同系デッキの対決においては先攻が取れなかっただけでも勝率が激減するほどでした。
  そこに着目したプレイヤー達は「序盤の攻勢を凌ぐ」こと、「大量に展開する低コストユニットを駆除する」ことに注力。大会に跋扈した「ラッパ・ビート」を獲物とする対策デッキが開発されました。



弾数 カードNo カード名称 枚数
メインデッキ
■赤 ユニット
I-4 007 ステルス・スナイパー 3
III-1 018 エックスデイ・ドラゴン 3
III-2 010 魔甲ドーザー土竜 2
III-4 008 ファイア・ドラゴン 2
III-4 010 カタストロフ・ドラゴン 2
■赤 ストラテジー
I-1 031 トロール流砲撃術 1
I-2 020 メガトン・パンチ 3
I-3 020 絨毯爆撃 3
II-1 031 トロール流砲撃術 1
■青 ユニット
I-1 083 濃霧の魔氷フォッグ 3
I-4 047 センチネル・センチピード 2
II-1 105 ギガント・エイリアン 1
II-3 103 粉雪の魔氷パウダースノー 3
■青 ベース
III-1 080 非武装中立ゾーン 2
■青 ストラテジー
I-2 056 バードマン・ソウル 3
I-4 057 欲望の連鎖 3
II-1 111 サイバー・チェイス 3
合計枚数 40
サイドデッキ
■赤 ユニット
II-1 025 カオスヘッド・ドラゴン 2
III-4 008 ファイア・ドラゴン 1
III-4 010 カタストロフ・ドラゴン 1
■赤 ストラテジー
I-1 035 ドラゴン・ブレス 3
■青 ユニット
II-4 053 深淵竜バブルドレイク 1
III-2 036 ローグ・ロングホーンビートル 2
合計枚数 10



  ここではツアートライアル北海道大会で6位入賞を果たした井口龍也プロが使用したデッキを参考に動かし方を解説していきましょう。
  まず、序盤は《サイバー・チェイス》《欲望の連鎖》を多用して手札を増強。攻め込んでくる小型ユニットを《粉雪の魔氷パウダースノー》《濃霧の魔氷フォッグ》などで駆逐します。序盤を凌いだ後は《ステルス・スナイパー》《センチネル・センチピード》で相手の最重要ユニットを狙い撃ち。苦し紛れに出てきたユニットは「隊列召喚-ビッグアイ」を一撃で焼き尽くす《ファイア・ドラゴン》、赤緑の大攻勢を灰にする《エックスデイ・ドラゴン》《カオスヘッド・ドラゴン》、ゲームから取り除き、墓地に置かれた時の能力をも封じる《カタストロフ・ドラゴン》の超絶火力攻勢で相手戦力を殲滅。無抵抗の相手に悠々とスマッシュを決めます。
  同種に、黒を用いて除去能力を底上げしたバージョンなども存在するこのデッキタイプが多くみられた北海道大会ではベスト8に食い込んだ「ラッパ・ドリアード」はわずか1人(関西大会では半数以上が《ラッパ・ドリアード》を投入)。

  強力なデッキの台頭は、イコール様々な角度からの研究が行われることを示し、その弱点を突くデッキが開発され続けていくことでしょう。それは「ラッパ・ドリアード」を駆逐した、このドラゴンデッキも例外ではなく、こんな変り種のデッキが、見事にジャッジファイナルを制しました。



弾数 カードNo カード名称 枚数
メインデッキ
■白 ユニット
II-1 123 ノックアウト 3
II-2 069 ムーラン・ルージュ 3
II-4 067 ブラッディ・マリー 2
III-1 091 グレン・リベット 3
III-2 056 ミリオン・ダラー 3
III-4 101 ヌーベル・ロマネ 2
■白 ベース
II-2 077 ソーラービーム・サテライト 1
III-2 060 雲海の牧場 2
■白 ストラテジー
II-1 160 白き聖王の門 3
■緑 ユニット
I-3 084 テキーラ・サンセット 3
III-3 063 エル・ドラード 3
■白緑 ユニット
III-1 184 ロサ・ギガンティア 3
III-3 091 ロサ・アルバ 3
III-4 089 ロサ・プリムラ 3
■白緑 ベース
III-1 188 バラの宮殿 3
合計枚数 40



これは高田伸一郎プロが使用した、ゴーレム&ローゼン・リッターデッキです。
「ラッパ・ドリアード」よりも確実に展開スピードは遅れることになりますが、そのサイズは保証付き。パワー比べなら、鉄巨人軍団に負けはありません。
ではドラゴンで焼き殺すかと言えば、このデッキではドラゴンより早く《ブラッディ・マリー》が登場します。今まで一線級のデッキに採用されてこなかったシルバーレアですが、そのテキストは極悪そのもの。「相手は使用コスト6以上のユニットをプレイできない」ので、火力自慢のドラゴンの群れは単なる紙屑と化します。何とかドラゴン以外のカードでこれを排除せねばなりませんが、サイズ勝負では分が悪く、除去能力やストラテジーは《ロサ・プリムラ》がインターセプト。こうなってはひたすら埋まってゆくバトルスペースを眺めるほかありません。
唯一ネックとなる重い移動コストは《ミリオン・ダラー》《雲海の牧場》が打ち消し、機動力の面でも相手に反撃の隙を与えない工夫がされている点もポイント。同種のユニットに相乗効果があることは広く知られていますが、ファンデッキの域に留まらず、最強デッキの一角を打ち崩すまでに昇華させたのは見事という他ありません。

  このようにどのデッキにも完璧な答えはなく、自らの創意工夫で数%の勝率を大きく跳ね上げることができることができます。他のデッキでも同様であることは、改めて言うまでもないでしょう。

あなたも是非「一時代を築く強力デッキ」の鼻っ柱を自らの手で折ってはみませんか?
「D-0」はその可能性を常に内包した思考競技なのですから。




文責:遊宝洞 前川勝



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