日本選手権2009秋 決勝トーナメントレポート

 

■準決勝
鈴木竜太(埼玉)VS武井孝充(岡山)

(文中敬称略)

鈴木竜太というよりも、「てんちょ」と言ったほうが馴染み深いプレイヤーも少なくないかもしれない。ご存知カードショップ・オーガの店長にして、自らも最前線のプレイヤーである「戦う店長」。プレイヤー歴は非常に長いが、意外にも今回が初めての決勝トーナメント進出である。

対する武井は岡山県のプレイヤー。決勝トーナメント進出は実に3年前、日本選手権2006以来である。実は「モンスター・コレクション」(モンコレ)との兼任プレイヤーであり、前日の本選では「明日のモンコレにも出るつもりだったので悩んでいます」とコメントし会場の笑いを誘っていたが(モンコレの本選はD-0の決勝と同日開催のため、どちらか一方にしか出られなかった)、結果としてD-0の決勝を選んだ。その決断を神も後押ししたのか、見事一回戦を突破し準決勝にコマを進めるに至る。
そんな2名によって行われた準決勝の様子をお届けしよう。

 

使用デッキ
鈴木:青黒クレバス 武井:青緑ブースト

1本目


先行は武井。ブーストデッキの定石である妖精の社交場を3ターン目から起動させ、まずまずの立ち上がりを見せる。対する鈴木はプランから青のベースを次々と揃えていく。双方とも早い段階からユニットが出てくるタイプのデッキではないため、序盤は足場固めの時間である。

武井は妖精の社交場に加えてスキップするフェアリーをプレイし、大きなエネルギー差を付けることに成功する。さらに蒼流星ストームドライブでドローを強化しようとする鈴木に対して不運の始まりを連発でプレイし、歯車を狂わせる。鈴木にとっては少々苦しい流れだ。
細かくスマッシュを刻み始める武井に対し、鈴木は雪霰の魔氷ヘイルなどの除去で応戦。


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このあたりから、互いが頻繁に山札の残り枚数を確認するようになる。コントロールデッキ同士の対決であれば、残り山札の数は勝利に直結する重要な情報だ。

ユニットを全て処理されてしまった武井はスカラベマスターをプレイし、スマッシュの追加を図る。だが鈴木は、いよいよここで断裂の魔氷クレバスをプレイしこれをブロック。一方の武井はすぐさまプランを作成し再展開する。

続くターンで鈴木は断裂の魔氷クレバスを前進させスマッシュを試みるが、負けじと武井も断裂の魔氷クレバス! 今大会の青環境を象徴するかのようなクレバス合戦である。
大巨人ゴッドファーザーJr.など、戦力を追加しつつ追い詰める武井。鈴木もそれを捌き続けるが、神を討つ魔剣の勇者妖魔の勇者を後だしされエネルギーを犠牲にされてしまう。


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このあたりからは、互いにターン開始から何もせずに優先権放棄の展開が続く。断裂の魔氷クレバスの存在が見えている以上、うかつに自分から動くことはできない。睨み合ったままスマッシュだけが刻まれる。

その均衡を破ったのは鈴木だった。貴婦人の微笑から、蒼王星キングトライデントの蘇生。能力を起動しリリースさせ、武井のスカラベマスターを始末しにかかる。武井はそれに対し妖魔の勇者をプレイし、エネルギーを縛ることで抵抗する。さらに武井は断裂の魔氷クレバスをプレイ、蒼王星キングトライデントをデッキに戻してスマッシュも阻止。続く武井のターン、当然のごとく断裂の魔氷クレバスを前進させてくる武井に対し、鈴木も断裂の魔氷クレバスで応戦。だがここまでは武井の想定通り。武井は手札に温存していた新生獣V・ヴァナジオンをプレイし、妖魔の勇者との二体で鈴木を追い詰める。スマッシュ数も山札の枚数も限界に達していた鈴木に、それを防ぐ術はなかった。

鈴木× ○武井


2本目

互いにサイドチェンジ後、鈴木の先攻で2本目がスタート。ここで鈴木、2ターン目のエネルギーセットで顔をしかめる。エネルギーに置かれたのは歓迎の宴。対「急襲」「補給」用として有効なカードだが、武井のデッキにそのようなユニットはほとんどいない。真っ先にサイドボードとの入れ替えで外される候補だが、どうやら入れ替え忘れていた様子だ。

その鈴木は2ターン目に挨拶代わりの失恋の痛みをプレイし、武井の手札をチェック。妖精の社交場があれば真っ先に落としたいところだったが見当たらず、新生獣V・ヴァナジオンを落とす。続く武井のドローは妖精の社交場。鈴木にとっては、なんともツキのないパターンである。
1本目に続き妖精の社交場スキップするフェアリーにより、エネルギーを伸ばしていく武井。一方の鈴木は少々プランの噛み合いが悪く、武井に展開力で差を付けられている格好だ。大巨人の盾ラインに大巨人ウートガルザ・ロキを居座らせ、プレッシャーをかけ始める武井。早くも6ターン目から、パワー9500の巨人が容赦なく鈴木にスマッシュを与えていく。

このままサンドバッグになるわけにもいかない鈴木は断裂の魔氷クレバスで押し戻すが、武井は鈴木がエネルギーフルフリーズになったことを確認すると、自らも断裂の魔氷クレバスをプレイ。さらに追い討ちで不運の始まりをプレイすることで、デッキトップに戻した鈴木の断裂の魔氷クレバスをデッキの底に沈めてしまう。だが鈴木の手札にはまだ断裂の魔氷クレバスが眠っていた。返しの武井のターンでプレイし、またしても戦場はクレバス合戦の様相を呈し始める。

互いに断裂の魔氷クレバスを出しては戻しの繰り返しとなるが、エネルギーに余裕のある武井は一度戻されても再度プランからの展開が可能。その結果、鈴木の断裂の魔氷クレバスをスマッシュに埋めつつ、じわじわと追い詰めていくことに成功する。


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5スマッシュまで追い詰められた鈴木、慎重なプレイングで武井のユニットを処理していく。武井もなかなか攻め込めずにいたものの、ここでプランに失恋の痛みがキラリと光る。武井のデッキは青緑だったが、相手がコントロールと見るやサイドチェンジによりギガンティック・スカルドラゴンなど黒の手札破壊要員が投入されていたのだ。鈴木はここで、失恋の痛みの解決前に一気に3枚の手札をプレイする。その中にはメロー・カードも含まれており、不意打ちもなんとか阻止しようという構えだ。結局、武井は鈴木の手札を確認後蒼王星キングトライデントを落とす。

手札を暴かれつつも、なんとかこのターンは凌いだ鈴木。だが武井は返しのターンで、さらなる断裂の魔氷クレバスをプレイし、トドメを差しにかかる。プランに回答を求める鈴木。そこに見えた失恋の痛みで武井の手札をチェックするも、自身の持ち駒では次ターンの攻勢を防ぎきれないと判断したか、肩を落としつつ投了を宣言した。

鈴木× ○武井

 

武井のプレイングは実に独特なものであった。自ターンでのエネルギーの大胆な使い方、思い切ったユニットの中央投下、そして早いターンから刻んでいくスマッシュ。一言で言えばアグレッシブなのである。慎重さが要求されるディメンション・ゼロのトッププレイヤーの中では珍しいタイプと言える。が、時には強引にも見えるそのプレイングが流れを引き寄せた結果が、今回の決勝進出ではないだろうか。
「技」に対する「力」。これも勝敗を左右する重要なファクターなのである。

Text:荒井健史



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