日本選手権2009秋 決勝トーナメントレポート

 

■決勝
河村和幸(大阪)VS武井孝充(岡山)

(文中敬称略)

河村の決勝進出は、決して順調なものではなかった。1回戦の渡辺裕二戦、準決勝の酒井孝一戦ともに、1本目を取られる苦しい立ち上がりからスタート。しかしそれを不屈のプレイングで巻き返し、いずれも2-1で勝ち上がって来た。
彼のこれまでの戦績はオープングランプリ広島の優勝のほか、グランプリ5の5位入賞などがある。長らく最前線で活躍しながらまだビッグタイトルに縁のなかった河村にとって、この決勝にかける意気込みはかなりのものがあるだろう。
一方の武井も決勝進出は初めて。合間にモンコレ仲間の激励を受けてリラックスしつつ、戦場へ赴く。

“静かなる獅子”と“岡山の伏竜”による決勝戦の始まりである。

 

使用デッキ
河村:赤青急襲 武井:青緑ブースト

1本目


先攻決定はダイスロール。結果、まずは河村が1本目の先攻を取る。
2ターン目に河村は蒼流星ストームドライブ、武井は妖精の社交場をプレイ。それぞれのデッキにとって、まずは理想的なスタートだ。

河村は3ターン目にプラン一発でガラクタ兵器試作倉庫を引き当て、急襲の足場を作成。早速蒼流星ストームドライブによるドローエンジンを始動させる。続く4ターン目にも手札からゲリラ屋のフィールドを追加し、着実にベースを揃えていく構えだ。

このままドローを許していては面白くない武井。そこで彼が取ったプレイングは神を討つ魔剣の勇者の中央投下!


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パワー2000の蒼流星ストームドライブを討ち取るには少々オーバーキルではあるが、これで河村の補給線を断ちつつ2エネルギーをフリーズ。河村に傾きかけた序盤の流れを引き戻しにかかる。
不意打ちを食らった河村だが、次ターン以降プランがうまく噛み合い、ガッチリと盤面を構築開始。一方の武井も、スキップするフェアリーからさらにエネルギーを伸ばし始める。神を討つ魔剣の勇者、大巨人ゴッドファーザーJr.で積極的に攻めに出る武井。それを河村はバーミリオン・ハンターの火力などで捌いていく。

そんな中勝負が決した瞬間は、まさに一瞬だった。武井は大巨人ウートガルザ・ロキの中央投下から断裂の魔氷クレバスを呼び出し、バーミリオン・ハンターライトニングホーン・ドラゴンをデッキに押し戻す。これで盤面はほぼリセットされたかと思いきや、ここで河村は手札に暖めていた融解戦鬼灼熱王ニトロ・カタパルトを一気にプレイ! 融解戦鬼灼熱王ゲリラ屋のフィールドラインにかっ飛ばし、生き残っていた蒼流星ストームドライブも合わせて進軍させ、合計7スマッシュ。制限カード2種による凶悪コンボで、あっという間に勝負を決めてしまった。


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思えばこのターン、武井が大巨人ウートガルザ・ロキをプレイしたタイミングで、河村は後方の神を討つ魔剣の勇者に対してブレイブ・スパークを打ち込んでいた。あの行動には単なるユニット除去以外に、ゲリラ屋のフィールドをフリーズさせこの1ターンでケリを付けるための布石という意味合いもあったのだろう。

河村○ ×武井


2本目

武井の先攻で2本目がスタート。1本目の快勝で流れを引き寄せたか、河村は2ターン目にして早くもガラクタ兵器試作倉庫×2を並べ、軽やかなスタートを切る。一方の武井はエネルギーブーストからスタートダッシュを決めたいところだが、手札やプランに見えるのは大型ユニットばかり。

4ターン目には補給によるコスト軽減なしで再改造手術をプレイするなど、苦しい手札の状況が伺える。その一方で河村は早くも祭儀の踊り子リムセ降臨、さらにはプランからの再改造手術で手札を増強と快調な動き。

このまま押し切られるわけにはいかない武井。5ターン目には枯れ果てた大樹をプレイし、それをコストにエネルギーゾーンの大巨人ゴッドファーザーJr.の能力を起動する。そして大巨人ゴッドファーザーJr.の能力解決前に、対象にしたスクエアに神を討つ魔剣の勇者をプレイし埋めてしまうことで、大巨人ゴッドファーザーJr.をエネルギーゾーンに留める。能力を不発させ、強引に1エネルギーを増やすプレイングだ。
ここから反撃の糸口を掴みたい武井。しかし河村はあっさりとブレイブ・スパーク神を討つ魔剣の勇者を撃退する。

こうなっては流れは完全に河村寄り。武井はお得意の不運の始まりを連発したり、河村のプレイした蒼流星ストームドライブ大巨人の盾で強化したスカラベマスターで踏みに行ったりと抵抗するが、ガッチリと固められた盤面と豊富な手札の前には焼け石に水だ。河村は極めて冷静に、武井を追い詰めていく。



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河村のユニットは蒼流星ストームドライブ、ライトニングホーン・ドラゴン、祭儀の踊り子リムセ。武井はプランを掘り進めるが打開策は見つからない。最後の希望を託した新生獣V・ヴァナジオンブレイブ・スパークに阻まれ万事休す。武井が投了を宣言し、河村の優勝が決定した。

河村○ ×武井

 

言わば“静”と“動”の対決であった。準決勝で見せた武井のアグレッシブなスタイルはここでも遺憾なく発揮されていたが、河村の着実で冷静なプレイングがそれを上回っていた印象だ。
河村はこの日大きなマスクを着けて会場に現れ、対戦中にも何度か咳き込むなどかなり体調が良くない様子だった。それでありながら平常心を失うことなく、長丁場の連戦を乗り切った精神力は特筆に価するだろう。

対戦終了後にカメラを向けると、マスクを外し嬉しそうにコメントをくれた。どちらかというと寡黙な河村の笑顔が、この優勝がいかに名誉なものであるかを物語っていたように思えた。

 



〜おまけ〜
ベスト4の試合後のコメント

河村和幸(優勝)
「昨日言った通りになりましたね(注:本選閉会式時のコメントで「優勝します」と宣言していた)。有言実行できて嬉しい」

武井孝充(岡山)
「これが今の実力。もっと精進します。あ、寝てない状態でも案外決勝行けますよ!(注:本選の日は当日入りでほとんど寝てなかったそうです)」

鈴木竜太(第3位)
「この環境ではずっと青黒クレバスを使い続けていた。周囲は途中で諦めていたけど、このデッキで結果を残せて嬉しい」

酒井孝一(第4位)
「実力は全て出し切った。この悔しさをバネに、次は勝ちたい」


Text:荒井健史



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