ディメンション・ゼロ グランプリ-3- レポート その1
ジャッジ兼ライター 前川勝

1. 総括
 第3回目を迎え、既にプロ資格を持ったプレイヤーも多く駆けつけることになった名古屋大会「グランプリ‐3‐」は皆様の期待の高まりをそのまま反映するかのように、過去最大となる308名によって本選が行われる大盛況となりました。広い会場内を埋め尽くすように行われたデュエルに、当初はサイドイベントのスペースを確保するのも難しく、グランプリは名実ともにディメンション・ゼロの象徴的なイベントとして定着したと言えるでしょう。

 エクスパンション2「仲間たちの絆」が加わったことにより、新たに注目を集めた種族デッキが生み出され、過去の強力カードの天敵となりうるギミックの存在は、デッキタイプも過去最大のバリエーション豊かなものにしてみせました。この群雄割拠の環境は一見混沌としているように見えますが、それこそがTCGのトーナメントとしては『最も面白い』ものになったのではないかと思います。

 また、今回の大会からは会場の内外に注目の試合内容を生中継する「注目の一戦」席も設けられ、歴代グランプリ覇者や歴代赤王陛下のデュエルを一手一手のプレイに渡るまで観戦することができました。ディメンション・ゼロを代表するトッププレイヤーたちのデュエルを間近で体感することで、今回は惜しくも本選参加ができなかった、または賞金圏内に食い込めなかったというプレイヤーの皆さんも多くのことを学ぶことができたかと思います。

 今後はその「観戦者」の中から、「注目の一戦」席を彩るプレイヤーが次々と現れてくれることを期待しています。

2. デッキ分布分析
 今回の使用デッキの分布は以下のようになりました。

[本選参加者]
赤緑 19% 種族デッキに加え、新ドラゴンが多く見られました
黒単 18% 小型で優秀なユニットが豊富で、除去にも強いです
緑単 12% 「小さくて大きな力」で展開力UP
赤黒 12% 「トロールバレー」は未だ死なず
黒緑 8% グランプリ‐1‐以来の好相性は健在
赤青 6% 速攻と奇襲による逆転性を兼ね備えています
黒白 5% 黒単の性能に白の防御力を加えています
青緑 4% 「歌劇場」の本場は赤青に奪われてしまったようです
赤単 4% 「ビーム」の登場も、使いこなすのは難しかったのでしょうか?
白緑 3% 使用率は低くとも、見事ベスト4に
黒青 2% ハンドアドバンテージは随一でしたが……
青単 2% 半分は『エビへの愛』で出来ています
その他 5%  
※「バードマン・ソウル」など3枚以下のタッチは色としてカウントしていません。

[色別使用率]
46% 「アゴニー」の登場で直接の戦闘力も上昇
46% プラン型には緑が似合う
42% 黒対策に支持率が上昇しました
17% サポートで使われることが多かったようです
13% 「水晶砦の魔女」などで前回より支持率回復
(ご参考)
68% ついに最も使われる色に!? 相変わらず優勝者は未使用ですが。

[決勝戦]
黒赤 2名
緑単 1名(「バードマン・ソウル」有)
白緑 1名 (「バードマン・ソウル」有)

 特定の色が大会の環境を席巻し、決勝ラウンドでは、それに対抗するメタデッキが見事に打ち崩すという劇的な展開を見せてくれた過去のグランプリに比して、今回は本選ラウンドそのものがドラマの舞台となりました。その原因はデッキ分布のデータをにらめば一目瞭然。今回は最大勢力となった赤緑ですら全体の2割に届かない『優勝候補不在』のメタゲームとなりました。この環境ではどんなデッキであっても常勝は望めなかったでしょう。

 グランプリのメタゲームは前回の優勝デッキを打ち倒すところから研究せねばなりません。それはもちろんながら「トロールバレー」を撃滅することが何より肝要。しかし、周知の通りグランプリ‐2‐を制した富田さんの「トロールバレー」はあくまで当時の最大勢力「ルドルフゲート」を倒すために作られた、いわば専用デッキ。安定したコントロールは脅威でありながら、対策をせねばならない要所自体は明確なものでした。

 その環境でもやはり根強い人気だった色は黒でした。地方予選でも猛威を振るいましたが、低コスト域に優秀なユニットが多く、いつ何時でも「冥界の門」から出現するとどめの一撃の強烈さは最も汎用性が高いと判断されたようです。小型ゆえの展開の素早さもあり、「トロールバレー」に対してすら相手が形を作る前に進軍していくことで勝機を狙うことができました。

 その結果を受け、アンチ黒として人気を集めたのが赤です。ベーシックパックの時代には最弱とされ、同情の声すら集めたものでしたが、黒最大の特徴である墓地の再利用を一切許さない「ブロンズキッド・ドラゴン」を始めとする墓地喰らいのドラゴンたちが戦線に投入されたことで、文字通り環境を一変させました。前回90%以上の使用率だった黒を半減させ、逆に赤の使用率は3倍近くに。『スクエアから墓地に置かれた時』の効果を無力化してしまう「ドラゴンの洞窟」までが加わったドラゴン勢の抑止効果は「トロールバレー」タイプのデッキでも、黒または同系を抑えるために採用するプレイヤーが現れるほど抜群でした。

 そして、上記2色との相性が抜群な緑が隠れた最大勢力として顔を覗かせます。制限カードではあるものの「大巨人クレーター・メーカー」の復帰や、緑の「バードマン・ソウル」とまで囁かれた「小さくて大きな力」の参入は緑使いならずとも注目しないわけにはいきません。デッキタイプでも緑単色は一定以上の支持を集めました。緑は明確な「トロールバレー」対策がなかったものの、黒単同様の早さと物量、そして「トロール流砲撃術」や黒の小型ユニットには屈しないエースユニット群のサイズでの押し切りを狙っています。

 その作戦の成功率を上げていったのが、今回惜しくもメインを支える色と言えるほどのシェアを占めることができなかった白と青になります。中でも白は「水晶砦の魔女」のパワー増強が最も分かりやすく、各色のデッキを強化し、そこここで逆転劇を演出しました。今後、明確に強力な白のユニットが現れたならば、すぐにでも白の時代が到来する可能性を秘めていると言えるでしょう。また、黒に「神々の雷」を加え「トロールバレー」対策を構えたデッキも存在しましたが、前日予選で「トロールバレー」の使用率がそれほど高くはないと判断された直前の段階で採用を見送った、ギリギリのメタゲームの変遷を演出する光景もみられました。  青でも後手の不利を逆転できる「ギガント・ゴールドフィッシュ」などのエネルギー増強カードに“当て逃げ”が可能な「セキュリティ・サービス」、全体での使用者は少なかったものの今回の「歌劇場」デッキの主役となった青版ペガサス「商店街を守る獅子」「銀行を守る獅子」等のカードが活躍しています。もちろん、既におなじみとなった今回最大勢力色「鳥色」こと「バードマン・ソウル」も68%と前回以上の使用率を誇っており、これからも青をまったく見ないトーナメントは考えることができないでしょう。

 そんな混迷の戦局の中、決勝トーナメントを制したのは2大会連続で「トロールバレー」の赤黒が優勝を果たしました。しかし、今回は決勝トーナメントにおいて「トロールバレー」が緑の展開力に押し負けてしまうパターンも見られ、ほとんどの試合が3本目に決着したことから見ても、この結果が変わっていた可能性は十分にあるでしょう。そのギリギリの駆け引きの妙は初代赤王としても著名な小松田さんによる決勝レポートにその詳細をお譲りいたしましょう。

 ともあれ、今回の「トロールバレー」の2連覇を受け、同デッキのキーカードであった「幽鬼の谷」とサイズを無関係に抹殺する「シャドー・ソウル」が制限カードに加わり、かつ新エクスパンション「激戦をもたらす者」が登場したことによって、メタゲームは再び動き出さざるを得ない状況を迎えました。  次はいよいよ初のディメンション・ゼロ日本王者を決する日本選手権になります。2デッキ制を採用する戦いはメタゲームの構成そのものが複雑で多岐に渡りますが、他のプレイヤーの思惑を超えるデッキが現れてくれることを期待しています。


 グランプリ3レポートその2に続きます。
 その2では、会場で見かけたユニークなデッキをご紹介します。



Dimension-Zero Official Home Page © BROCCOLI