ディメンション・ゼロ グランプリ-3- レポート その2
ジャッジ兼ライター 前川勝
3、会場で見かけたユニークなデッキ
 既にお馴染みとなった感もあるこのコーナー。今回は「仲間たちの絆」でクローズアップされた「種族デッキ」をテーマに個性的なデッキを紹介していきましょう。
「種族デッキ」の中には複数人の方が使用していた主人公チーム「コロボックル」や、以前から必ず挑戦する人が現れる「サキュバス」(田中元さん)などが見られましたが、それ以外の種族デッキももちろん只では転ばない性能を秘めており、単なる「ファンデッキ」の域では留まらないものだって存在します。例えば赤黒の新型速攻である「ドール」デッキなどはいかがでしょう?

田場敏典さん 赤黒「ドール」デッキ
[メインデッキ]
2 殺意の魔煙キラー
2 夢見る人形エリザベス
3 ダンシング・パペット
2 真夜中の狩人ミュラー
2 スパイク・ガールズ
2 微笑む人形マリアン
2 ジャグリング・パペット
3 ローリング・ソーンズ
2 引き裂く人形アン
2 暗黒街の闇市
3 失恋の痛み
2 シャドー・ソウル
3 刹那の魔炎レイザー
2 爆砕の魔炎バーン
3 戦場に咲く花サラ
2 弾幕を張るロザンナ
1 戦場のドールハウス
1 ドラゴンの洞窟
1 トロール流砲撃術
[サイドボード]
1 夢見る人形エリザベス
1 スパイク・ガールズ
1 断罪時計ハングドマン
1 瘴気の渓谷
2 呪われた銃弾
2 冥王の鉤爪
1 弾幕を張るロザンナ
1 ピクニック・バスケット

 前回のレポートでもお伝えしたとおり、黒のユニットは繰り返し使いやすいユニットが揃っていますが、このデッキでは「ミュラー」以外に墓地を利用するシステムが組み込まれていません。そこには「墓地などに頼る必要などない! 山札から繰り出される大量のラブリー・ドール軍団の前にひれ伏させてくれるわ!」という愛が見てとれます。しかし、その攻撃力は決して侮れるものではありません。特に「ロザンナ」をプレイした次のターンからのプランからは60%以上の確率で「速攻」が飛び出してきますし、さらにパワー増強まで加わったドールたちは生半可な迎撃では止めることができないはずです。そして、とどめはこのデッキでこそ最大効率をきらめかせる「戦場のドールハウス」でスマッシュを強化してぶっ飛ばす!
ここまで思う存分にドールを使ってもらえたなら、人形遣いコルヴィッツも本望といったところでしょう。今後登場するドールたちも是非ともコレクションに加えてもらいたいものです。

 圧倒的な攻撃力よりも、相手の裏をかくコンバットトリックで華麗に勝利してみたい人には、下の「ライオン」デッキなどはいかがでしょう?

戒島功さん 青白「ライオン」デッキ
[メインデッキ]
3 濃霧の魔氷フォッグ
3 衣服商人スワロー・ポール
3 商店街を守る獅子
3 真空の魔氷バキューム
2 銀行を守る獅子
3 水底の歌劇場
3 バードマン・ソウル
3 リセット・コマンド
3 益々繁盛
3 スクリュー・ドライバー
2 月に吼える獅子
3 ムーンライト・エンジェル
3 轟く斧の乙女
[サイドボード]
2 ギガント・ゴールドフィッシュ
3 シーホースルドルフ
3 セキュリティ・サービス
2 新たなる支配者

 基本となるのはグランプリ‐1‐を制した「オペラハウス」同様、「水底の歌劇場」を中核に据えたデッキですが、同時に「オペラハウス」が抱えていた欠点の解消に挑んでいます。
 「オペラハウス」は「歌劇場」ラインから大型ユニットを放り込み、対処しきれないうちにとどめを刺すデッキですが、ユニットは絶え間なく迎撃の的となるため、戦力を確保するためのプランに失敗すると攻撃の手が止まってしまう安定性の欠如が存在しました。ですが、この「ライオン」たちならば、そんな心配も一発解消。相手が迎撃ユニットをプレイしてきた瞬間に自軍エリアに瞬間移動して生き残り、自分のターンに一歩前に出れば再び相手にスマッシュを与えることができます。ならば、とストラテジーで攻撃してくるならば「真空の魔氷バキューム」やサイドの「セキュリティ・サービス」で手札まで帰って、再び「歌劇場」ラインから出撃……と、その連続攻撃は見る者に絶望を与えること間違いなしです。
ただし「激戦をもたらす者」で加わった人気ユニット「踊りかかる獅子」と「待ち受ける獅子」は一旦能力が誘発してしまうと「商店街を守る獅子」たちの能力で自軍エリアに呼び戻しても、相手に飛び掛って行ってしまうので、このデッキをマイナーチェンジしようとする時にはご注意を。

 最後に磐石な横綱相撲が好きな方にお届けするのが白緑「ゴーレム」デッキ。同タイプのデッキはあの木谷会長も愛用している、由緒正しき(?)デッキテイプです。

貴戸祥郎さん 白緑「ゴーレム」デッキ
[メインデッキ]
3 グレン・リベット
3 シングル・モルト
3 スクリュー・ドライバー
3 レモン・ハート
3 ドライ・マティーニ
3 天国の門
2 クリスタル・フォートレス
2 神々の雷
3 テキーラ・サンセット
2 テキーラ・サンライズ
3 蜘蛛の巣をまとうフェアリー
2 象砲手バルカン
3 小さくて大きな力
3 誕生の宴
2 地底の楽園
[サイドボード]
3 スターライト・エンジェル
1 クリスタル・フォートレス
1 神々の雷
3 妖精の風車
2 暴走する大地

 ユニットの選択からして、なんとも男らしい構成。「ゴーレムはプランから出す。サイズは増強する。」というコンセプトからゴーレムの代名詞とも言える「ロマネ・コンティ」を排除し、徹底して自軍エリアに配置→エリアが埋まったら進軍を繰り返します。一旦「テキーラ」シリーズで強化されたゴーレム陣は火力や迎撃ユニットをなぎ払いながら敵軍エリアを目指していきます。
今回は「シャドー・ソウル」等がよく使用され、サイズに関係なく殲滅させられてしまったこのタイプのデッキが隆盛することはありませんでしたが、「シャドー・ソウル」の制限により、再び環境が「サイズ=正義」の時代に返る可能性が高まっています。
加えて「激戦をもたらす者」で加わった種族強化ベース「超高速バイオコンピューター」や新たなゴーレムフィニッシャー「ギムレット」が加わり、再び環境が「サイズ=正義」の時代に返り、このデッキも第一線級に躍り出る可能性を存分に秘めていると言えるでしょう。

 「今日のファンデッキは明日のメタ」と昔から言われていたかどうかは定かではありませんが、今回2連覇を飾った「トロールバレー」も当初は誰も思いつかなかった独創的な構成で完成されたものでした。
 日本選手権ではいかなる個性的なデッキが会場全員の度肝を抜いてくれるのか、今から楽しみなところです。


4、おまけ
 グランプリ等の大型公式大会となれば必ずあるのが「デッキリストの提出」。リストの記入には自分が使用しているカードを間違いのないように記す必要がありますが、そうして提出されてきたリストを眺めていますと、中にはなかなか個性的なカードを使っている方がいらっしゃるようで……。
 今回は特別に実際にあった事例を紹介していきましょう。

・大臣人クレータメーカ
  脳のトレーニングが大流行の昨今、知的格闘技たるディメンション・ゼロでも頭の体操をしてみましょう。

「大臣人クレータメーカ」
この文字列からマッチ棒を2本動かし、現存するユニット名にしなさい(「・」は省略可とする)。

 「マッチ棒クイズ」になってしまったあたりが、単なる誤字にはない爆発的なセンスを感じさせます。気がついたときは敗北感すら漂いました。
 しかし、実際のところ「巨」を「臣」と書き間違えているプレイヤーは結構な数で見受けられます。推察するに「巨」と書いてみたはいいものの、中の部分の安定感のなさが気になって思わずつっぱり棒を追加してしまったのでしょう。その建築学的なバランス感覚は光るものがありますが、国語の勉強もお忘れなく。

・玩具商入ペンギンポー
 「人と言う字は〜」というネタが果たしてプレイヤーの年代層にはピンと来るのかどうか、いささか不安ではありますが支え方が逆になるようでは独り立ちするにはまだまだです。
 ちなみにこの「入」という字と、正解の「人」という字。習うのは小学1年生のようです。
 ……書いた人はプロプレイヤーじゃありませんように……。

・象砲毛バルカン
 語感からのイメージはなんとなくものすごい鼻毛が伸びているバルカンが浮かんできます。一個一個のガトリング砲の銃口からワッサと生えた剛毛……とても4コストパワー6000の優良ユニットには見えません。そもそもこんな毛が出ていては弾を撃てないはずです。
 まぁ、実際にいたら近寄らない方がいいタイプのキャラになっていると思われますので(こういうのはきっと鼻水の量とかも半端じゃない)、バトルは挑まれなさそうではありますが。
 癖毛はちゃんと撫で付けて、正しい方向にカールさせましょう。

・不思議時 ワンダーラビット
 カード名を省略する人と言うのは珍しくありません。話し手と受け手が共通で理解できるなら、いちいち「毒瓦斯の魔煙ポイズン」みたいな難しい漢字を声に出す必要はありません。友人間の間なら「益々繁盛」を「えきえきしげもり」と読み間違えた上で省略して「しげもり」と歴史上の人物にしたてあげても構いません。
 しかし、正式名称を書く気があるなら最後まで書きましょう。最後の「計」を略すくらいなら「議」を書かない方がカロリー的にもお得ですし「ディメンション・ゼロ」だって「D-0」と略すならスタイリッシュですが「ディメンション・ゼ」では尻切れトンボです。
 書いた瞬間に違和感がなかったのかも含め、何でここだけ略したのかを聞いてみたい気もします。

・神々の電
 単なる誤字に見えるこの間違いも、調べてみるとなかなか興味深いことが分かります。
「電」とは「稲妻」と同義であり、正解である「雷」と指すものは同じですが、その名称の違いは気まぐれではありません。「稲妻」とは文字通り「稲」の「妻」。かつて「稲」はこの光を受けることで米を実らせてくれると信じられていたため、あのピカッとしてゴロゴロという現象にそんな名がついたのです。
しかし、稲を育てていない地域にとっては何だか分からない恐ろしいもの。そこで「厳(いか)つ霊(ち)」(怒っている霊)を語源とする「雷」という呼び名も生まれました。「かみなり」はこっちに近い意味ですね。
こうしてみると「電」は米を生み出してくれる、ありがたいもの。「雷」は危害を及ぼすイメージが強くなってきます。何気ない字の違いにも、深い意味があるものですね。
これを知っておけば、万一「電」と書き間違えても、むしろ尊敬される可能性があります。

・時間の暮場
 多分、夕暮れ時のことを言いたかったのだと思います。西の空が茜に染まる頃、街灯に火がともる頃と言ってもいいかも知れません。わざわざ殺伐とした「墓場」を物悲しさ漂う「暮場」と書くとは、どうやら書き間違えた人は詩の心得のある人だったようです。
 対戦した人にとっては「君は僕にスマッシュしてくる、それは何故?」などと対戦中にいちいちポエムを披露する、厄介な相手だったのではないでしょうか。今度見かけたら是非ジャッジを呼んでください。
 しかし、同時にこの人には「墓地」も「暮地」と読めていたはず。
ああ、そう考えると、この人はなんと優しい心の持ち主でしょう。彼にとっては墓地に置かれるユニットは死んだのではなく、時間が遅くなったから家に帰っただけなのです。
 そう、デュエルが終わればまた会える! 彼はそういうメッセージをこの誤字に込めているのでしょう!
 昨今はまだ遊び足りないと戻ってくるお子さんがいるため、ゲームから取り除かれるそうですが。

 ……とまぁ、ごらんいただいた通り、デッキリストの誤字にはなかなか奥深いものが含まれています。
 しかしだからと言って、デッキリストに面白カードネームを書いていいと言うわけではありません!
 今回紹介したのは「正しく書こうとして間違ってしまった」というものであり、当然これらの間違いは今後繰り返されるべきものではなく、当コーナーも連載企画ではありませんし「面白い誤字を考えましたので取り上げてください」などという不届きな考えをもっても今後とも扱うことはありませんのでご了承ください。
 万が一、その様な目論見で故意にリストを改変した場合はフロアルールに基づき、厳しいペナルティが課せられることになります。
 2デッキを登録することになる日本選手権では、その様な間違いが起こらないことを願いつつ、筆を置かせていただきます。



Dimension-Zero Official Home Page © BROCCOLI