ディメンション・ゼロ グランプリ-3- レポート その3
初代赤王 小松田純平
1.はじめに
  前回のGP2までゲームデザイナーである中村聡さんが担当されていたグランプリのレポートですが、今回なぜか私のところに依頼が来ました。こんな依頼が来るなんて赤王のタイトルの重みをあらためて感じる次第です・・・。GPで上位に入ることもない平凡なプレイヤーの私には中村さんのような精密な分析はとてもできませんが、いちプレーヤーとして参加したグランプリということで、できるだけ参加者やプレイヤーとしての視点で感想などを書けたら・・・と思っています。拙い文章ではありますが最後までお付き合いいただけましたら幸いです。

2.デッキ分布
 当初、GP2を制した強力なデッキタイプであるトロール・ヴァレーと黒単色のデッキを採用したプレイヤーが各地の予選を多数通過していたためGP3も黒の大会になるのではと予想する方がたくさんいらっしゃったのではないかと思います。(かく言う私もその一人です。)
 しかし、ここまで多数のプレイヤーが使用する黒の大陸のカードたちを全国の強豪たちが対策しないはずがありません。結果として強力な黒のカード達に対抗できるデッキが多数GPの舞台に登場することになります。中でも、仲間たちの絆から登場した墓地焼きドラゴンと黒のアドバンテージユニットが一方的に除外できる「ドラゴンの洞窟」が投入可能で、さらにエネルギー加速からのユニット展開が容易にできる緑赤のデッキは黒に強いだけではなく他のデッキにも互角以上に戦える爆発力があるため、多くのプレーヤーの心を掴みました。他にも、緑赤のデッキより展開力に優れる緑単色のデッキや、「トロール流砲撃術」と「シャドー・ソウル」の双方に耐性を持つ「銀行を守る獅子」をフィニッシャーとして採用した歌劇場デッキが登場するなど、結果としてまさに群雄割拠、一足早く激戦がもたらされたGPではなかったでしょうか。

 一方、これだけ混沌とした環境ゆえに、割を食ったデッキタイプも存在します。それが黒のビートダウンにベース破壊ができる白のカードを投入した黒タッチ白のデッキです。元々、黒タッチ白のデッキはトロールヴァレーに対する解答となるデッキでした。しかしトロールヴァレーが最多勢力ではなかった今回、黒タッチ白はトロールヴァレー以外のデッキには特別に有利と言えるデッキでは無いために、このデッキを選択するプレイヤーが想像より遥かに少ない結果となりました。このことが結果としてトロールヴァレーに有利に働いたのではないかと思います。(余談ですが私も実際に前日予選の会場を見学するまでは黒単色やトロールヴァレーを使うプレイヤーが多いと思っていました。しかし、会場を覗くとトロールヴァレーがいないではありませんか!しかも黒単色を使っている人も少なく緑使用者多数と言う状況。これには正直参りました。トロールヴァレーが多そうだったら黒タッチ白のデッキを使おう、なんて思っていた自分の読みの甘さを後悔した瞬間でもあります。それなのにベスト4にトロールヴァレーが2人残っているのを見たときは本当にびっくりしました。)


3.対戦レポート(準決勝)

原根健太さん vs 生田瑛二さん

 本選1位通過を果たした原根さんと4位通過の生田さんの対戦となったこのカード。使用デッキは原根さんが緑の優秀なユニットを白のカードでサポートする「緑白ファーザー・ゲート」。生田さんが前回GP2を制した「トロール・ヴァレー」という対戦になりました。

「1本目」
【序盤:1〜6ターン】
 生田さんの先行で始まった1本目、生田さんは2ターン目に「失恋の痛み」を使用した後はひたすらプランを作成、更新し、3ターン目に「キラー」、5ターン目に「ミュラー」、6ターン目に2枚目の「キラー」を展開しキーカードである幽鬼の谷の登場を待ちます。
対する原根さんは1ターン目のプランから「バードマン・ソウル」が登場する理想的な展開。さらに2ターン目に手札から「キューティ・バニー」、3ターン目、4ターン目にはプランから「誕生の宴」、5ターン目にはプランから「蜘蛛の巣のフェアリー」とブン回りと言っていい圧倒的な加速を見せます。そして6ターン目にプランから「カオスビースト・ゲンブ」が登場し、まったく手札を消費することなくスクエアにユニットを展開した原根さんは幽鬼の谷の登場と同時に攻勢をかけるべく準備を整えます。

【中盤:7〜11ターン】
 7ターン目、生田さんのプランから「幽鬼の谷」が登場します。普通、「幽鬼の谷」のような高コストのベースは相手にユニットが並んでいる状況だとプレイし辛いですが、まだスマッシュを受けていないこと、さらに自軍にユニットが並んでいる状況のため中央ラインに迷わずプレイします。エネルギーにはしっかり赤エネルギーを残し、「ノヴァ・コマンド」や「トロール流砲撃術」のプレッシャーを原根さんにかけます。
一方、原根さんはこの隙に攻勢をかけたいところですが、相手にユニットが並んでいる状況で一気に攻撃を仕掛けてしまうと次のターンですべてのユニットを除去されてしまう可能性が高い上に、もし除去をされた際に一方的なトロールヴァレーのペースになってしまうため、攻撃を自重し蜘蛛の巣をまとうフェアリーの前進による1点スマッシュのみにとどめます。
 8ターン目には、生田さんがプランと手札から「スパイク・ガールズ」を中央エリアに投下、温存してあった原根さんの手札を削りにかかります。一方の原根さんもプランからユニットを展開して攻撃を仕掛けますが、一旦始まってしまった魔のサイクルは止まらず原根さんのユニットを一方的に焼き殺していきます。そして気がつくとあれだけ温存してあった手札が尽き、場にはプランから並べたユニットがいるだけと言う典型的なトロールヴァレーの場が構築されていました。そして迎えた11ターン目、生田さんの手から2枚目の幽鬼の谷が登場し、魔のサイクルはさらに加速します。

【終盤:12〜15ターン】
 その後も原根さんは攻撃を仕掛けますが、2枚の幽鬼の谷の前にはなすすべも無く15ターン目に原根さんは投了を宣言します。

「2本目」
GP2が終わってからの3ヶ月、徹底的に研究されてきたであろうトロールヴァレー。原根さんはトロールヴァレーの攻略をサイドデッキの「神々の雷」に託します。

【序盤:1〜6ターン】
 原根さんの先行でスタートした2本目、1ターン目にまたしてもプランから「バードマン・ソウル」が登場、そして1枚引いた後のプランにはサイドデッキから投入した神々の雷が現れます。これは緑のユニットの圧倒的な展開力に対抗するために何としても幽鬼の谷をプレイしたい生田さんには、想像できた事とはいえ渋い表情になる展開です。
さらに原根さんは3ターン目に「誕生の宴」、4ターン目に「象砲手バルカン」をプレイし生田さんを牽制しつつ主導権を握ります。
対する生田さんも上々の立ち上がり、2ターン目に「キラー」、4ターン目に「ローリング・ソーンズ」をプランからプレイし場を整えます。

(1)殺意の魔煙キラー
(2)ローリング・ソーンズ

(3)象砲手バルカン
<生田> 被スマッシュ0

<原根> 被スマッシュ1

 5ターン目、原根さんはプランから2度登場した「小さくて大きな力」を使用し、手札から「キューティ・バニー」をプレイしながら、「象砲手バルカン」を何と4歩移動し、相手の場にあるキラーとローリングソーンズを倒します。
 「幽鬼の谷」が無くてもいい勝負が出来てしまうのがトロールヴァレーの真の強さです。それは「トロール流砲撃術」と「ノヴァ・コマンド」というスクエアのユニットを利用した優秀なストラテジーの力による所が大きいため、手札にある「神々の雷」を使用して「幽鬼の谷」を破壊できる原根さんはスクエアにいるユニット同士の戦いで主導権を取られることがないように生田さんのユニットを除去したのです。
 手札に幽鬼の谷がある生田さんはスクエアにユニットの無いこのターンに「幽鬼の谷」をプレイするかと思われましたが、出してもすぐに破壊されることが分かっている「幽鬼の谷」をプレイするのではなく、プランを作成して「冥界の門」からキラーをプレイしたに止まります。

 6ターン目、原根さんは何と手札から「神々の雷」をエネルギーにセットします。そしてプランからユニットを配置した後「キューティ・バニー」を前進させて相手の「キラー」にぶつけ、相手の場にユニットを残さないと言うことを徹底します。
生田さんは原根さんが対トロールヴァレー攻略のキーカードをエネルギーに置いたことで「幽鬼の谷」をプレイするかと思われましたが、そこはさすが決勝ラウンドに残るプレイヤーです。セットされた「神々の雷」が2枚目のカードであることを見抜き「幽鬼の谷」をプレイしてもすぐに破壊されてしまうことが分かっている生田さんはこのターンも「エリザベス」をプランから展開したにとどまります。

【中盤:7〜10ターン】
 岐路は7ターン目に訪れます。
原根さんがプランから「ロマネ・コンティ」を配置し、優先権を放棄した際に生田さんの手札から「失恋の痛み」がプレイされます。ここで原根さんの手札は「生命の門」と「神々の雷」。是非とも「幽鬼の谷」をプレイしたい生田さんは「神々の雷」を選択するかと思われましたが、デッキの中にまだ1枚「神々の雷」が残っているであろう事、そして万一「幽鬼の谷」をプレイして破壊されなかったとしても「生命の門」があってはいつ「大巨人ゴッド・ファーザー」の降臨によるスクエアの圧倒的な支配が始まってもおかしくはないため「生命の門」を選択します。これは、おそらく生田さんがこの戦いを幽鬼の谷なしで戦うことを選択した瞬間だったのでしょう。

8ターン目、9ターン目は原根さんがユニットを展開し、生田さんがそのユニットを「エリザベス」で除去しながら隙をうかがうと言う展開になりました。
そして10ターン目、些細な宣言のミスが勝敗を大きく左右します。

(1)魔少年ダミアン
(2)スパイク・ガールズ
(3)夢見る人形エリザベス

(4)ロマネ・コンティ
(5)カオスビースト・ゲンブ
(6)草笛を吹くフェアリー
<生田> 被スマッシュ0

<原根> 被スマッシュ2

 上の図は原根さんが「ロマネ・コンティ」を一歩前進させた後、プランから「小さくて大きな力」を使用し、さらに「草笛を吹くフェアリー」を配置、優先権を放棄した際の図です。
ここで生田さんは「ロマネコンティ」を除去するべく「フェザー」をプレイします。これによりバトル中に「フェザー」の効果で回収してきた「シャドー・ソウル」をプレイしてバトルに勝利した「ロマネ・コンティ」を破壊することが出来るのですが、この「シャドー・ソウル」を使用するタイミングに関して生田さんがバトル終了時の使用を宣言したため、ジャッジの指摘により「シャドー・ソウル」の効果が発揮されることは無く「ロマネコンティ」を倒すことが出来ませんでした。(※)
普段、仲間内では何気なく行っている宣言が戦況を大きく左右してしまう。これも高額賞金がかかった真剣勝負ならではの厳しさではないでしょうか。
これにより本来なら倒されていたはずの「ロマネ・コンティ」が場に残った原根さんが俄然有利になります。原根さんはさらにプランから「蜘蛛の巣をまとうフェアリー」をプレイして圧倒的に有利な場を構築し「ロマネ・コンティ」でスマッシュを与えて攻撃を開始します。
続くターンで生田さんは「ダミアン」を前進させて「キラー」との合わせ技で「ロマネ・コンティ」を破壊しますが相手に傾いた流れは簡単には取り戻せません。

【終盤:11〜14ターン】
 そして11ターン目、生田さんがプランから登場した「真夜中のダンスパーティ」で「草笛を吹くフェアリー」を除去した後「大巨人ゴッド・ファーザー」が降臨します。
「幽鬼の谷」をプレイしてあるトロールヴァレーであれば何と言うことのない「大巨人ゴッド・ファーザー」の降臨ですが「幽鬼の谷」が無くすでにスマッシュを受けている状態ではその圧倒的な制圧力はいかんともしがたく「大巨人ゴッド・ファーザー」から呼び出される2匹の「タイガー・アイ」を前に、生田さんは14ターン目に力尽きることになります。

「3本目」
1対1で迎えた3本目。すでに試合開始から1時間が経過しようとしていました。3本目の開始前に運営側から残り時間(20分程度)で決着がつかなかった場合はスマッシュ値による判定が行われる説明がありました。残り時間の制約は長期戦になりやすいトロールヴァレーを使用する生田さんには辛く、ある程度を相手の土俵で戦うことを意味します。

【序盤:1〜5ターン】
先行の生田さんは3ターン目までをプランの作成・更新に費やすのみで、対する原根さんも3ターン目までにエネルギー加速が行えず、両者ともに静かな立ち上がりとなります。
試合が動いたのは4ターン目から。生田さんは4ターン目、5ターン目と続けてプランから「ローリング・ソーンズ」を引き当てます。これでユニットを確保しつつ相手の手札を破壊します。しかし、原根さんも負けてはいません。4ターン目、自分のターンに「象砲手バルカン」をプレイすると、続くプランから「バードマン・ソウル」を引き当て破壊された手札を補充します。5ターン目には手札から「タイガー・アイ」をプレイし試合は中盤へ。

【中盤:6〜8ターン】
6ターン目、プランから「ミュラー」をプレイしただけの生田さんに対し、原根さんは「タイガー・アイ」による攻撃を開始します。

(1)ローリング・ソーンズ
(2)真夜中の狩人ミュラー
(3)ローリング・ソーンズ

(4)戦虎タイガーアイ
(5)象砲手バルカン
<生田> 被スマッシュ2

<原根> 被スマッシュ2

7ターン目、生田さんはまず「ローリング・ソーンズ」を前進させるのに対応して「ノヴァ・コマンド」を使用して「タイガー・アイ」を破壊します。そしてここで優先権を放棄し原根さんの出方を伺います。対する原根さんが「象砲手バルカン」のラインに「密林の弧城」をプレイしたため「ローリング・ソーンズ」を右へ移動させて3点目のスマッシュを与えます。

(1)ローリング・ソーンズ
(2)真夜中の狩人ミュラー
(3)ローリング・ソーンズ

(4)象砲手バルカン
(5)密林の孤城
<生田> 被スマッシュ2

<原根> 被スマッシュ3

頼みのタイガー・アイを簡単に除去された原根さんはユニットの数でも負けていて苦しい展開ですが、必死に抵抗します。
バルカンを一歩前へ前進させた後、プランから「小さくて大きな力」をプレイし、さらにプランから中央ラインに「蜘蛛の巣をまとうフェアリー」をプレイして優先権を放棄します。しかし、ここで生田さんはエネルギーをすべて使用してキーカードである「幽鬼の谷」を中央ラインにプレイします。まだ相手にエネルギーが残っているにもかかわらず・・・。結果としてすべてのエネルギーを使用したこのプレイングが勝敗を分けることになりました。もし原根さんの手に神々の雷があったら、小さくて大きな力があったら、門があったら・・・、一瞬のこの隙に決定的な場を構築できる可能性がありました。しかしそのどれも手にしていなかった原根さんはやむを得ずバルカンで中央ラインの「ローリング・ソーンズ」と「ミュラー」を倒しスマッシュをします。

4点目のスマッシュを受けてピンチになった生田さんですが「幽鬼の谷」のラインにいたユニットが倒されたため2枚のストラテジーを回収しています。
そして次のターンから始まった魔のサイクルが勝負の行方を決定したのでした。

【終盤:9〜11ターン】
「幽鬼の谷」を破壊できればまだ可能性があった試合でしたが、残念ながら原根さんの思いにプランは応えてはくれませんでした。
そんな中「天国の門」、「生命の門」という2種類の門を駆使して最後の攻撃を仕掛けますが、トロールヴァレーの守備力の前にはいかんともしがたく、逆に5点までスマッシュを重ねられてしまいます。
そして原根さんの手札が1枚の状況で生田さんがプレイしたローリング・ソーンズとライトニング・スナイパーが1時間を越える大熱戦に終止符を打ったのです。

(※)総合ルールによると、まずバトル終了ステップの開始時にバトルの勝敗を判定し、その後にスペルや能力の起動を行うタイミングがあるため、バトル終了時と宣言をしてしまうと、まずバトルの勝敗が決定してしまうためにシャドーソウルの効果が発揮されなくなってしまいます。そのため、正確には第二バトルステップのバトルダメージの応酬後に使用しないといけません。

4.対戦レポート(決勝)
生田瑛二さん vs 入江裕太さん

決勝戦は前回のGPを制したトロール・ヴァレーを操る生田さんと、準決勝でトロール・ヴァレーを撃破して決勝に駒を進めた入江さんの対戦です。
圧倒的な守備力を誇るトロールヴァレーに緑単色のデッキを操る入江さんがどう立ち向かうのか、会場中の注目を浴びながら全国のディメンション・ゼロプレイヤーの頂点を決める戦いが始まりました。

「1本目」
【序盤:1〜6ターン】
 入江さんの先行で始まった決勝。入江さんが2ターン目にプランから「バードマン・ソウル」を引き当てるまずまずの立ち上がり。対する生田さんは「失恋の痛み」をプレイして入江さんの手札に自分の脅威となるカードが無いかをチェックします。
 3ターン目にまず試合が動きます。入江さんのプランから緑の悪魔「クレーター・メーカー」が登場したのです。残り2エネルギーの状況ではプレイできないかと思われましたが、入江さんは手札から「小さくて大きな力」をプレイしてエネルギーを回復した後「クレーター・メーカー」を中央投下します。これによりエネルギーで一方的な差をつけた入江さんは4ターン目にプランから密林の弧城、5ターン目には手札から「キューティ・バニー」と「いばらの森」をプレイして一方的な自分の場を構築します。対する生田さんは少ないエネルギーの中「キラー」と「ローリング・ソーンズ」をプランからプレイして少しでもエネルギーの差を埋めようとします。そして6ターン目、入江さんのユニットが動き出します。「いばらの森」を敵陣まで前進させた後「妖魔の預言者」をプレイして優先権を放棄。エネルギー差を生かすためにスマッシュはせず、一斉攻撃の準備を整えます。次のターンからの攻撃を少しでも和らげたい生田さんはプランを捲りますがプランは墓地を肥やすのみに終わります。

【中盤:7〜10ターン】
 7ターン目、入江さんはプランから「カオスビースト・グリフィン」手札から「妖魔の預言者」をプレイしてユニットを増やした後、「キューティ・バニー」を前進させます。「キューティ・バニー」は「キラー」で除去されてしまったものの「いばらの森」でスマッシュ。入江さんの攻撃が始まります。このまま攻撃を続けることが出来れば入江さんの勝ち。もし攻撃が続かなければ・・・・。そのときは「トロールヴァレー」の圧倒的な火力がユニットを焼き尽くすことは間違いありません。
もはや僅かの隙も命取りとなる生田さんは、最小限のプランと手札から解答を導き出さなければなりません。生田さんはプランから「キラー」をプレイしたのみでエネルギーを残したまま次のターンに備えます。
スクエアをユニットが埋め尽くす中、入江さんは攻撃を続けます。まず「妖魔の預言者」が前進して、一気に詰めにかかります。
さすがにこの状況でスマッシュを受けてしまってはこの後の攻撃を受けきるのは困難です。生田さんは残り少ないエネルギーを使用して「いばらの森」を除去にかかります。まず「ライトニング・スナイパー」をプレイ、バトル中に「シャドー・ソウル」をプレイして「いばらの森」の除去に成功します。本来であればもっと効果的な場面で使用したかったはずのシャドーソウルですが、状況がそれを許しませんでした。虎の子を失った生田さんに対して、入江さんは「小さくて大きな力」を使用してプランから「カオスビースト・ゲンブ」を展開し、スマッシュを与えてターンを終了します。

(1)密林の弧城
(2)カオスビースト・ゲンブ
(3)カオスビースト・グリフィン

(4)妖魔の予言者
(5)妖魔の予言者

(6)殺意の魔煙キラー
(7)殺意の魔煙キラー
(8)ローリング・ソーンズ
<入江> 被スマッシュ1

<生田> 被スマッシュ3

圧倒的に不利なこの状況を何とかしたい生田さんですが、プランから現れたのは「ローリング・ソーンズ」。普段なら嬉しいですが、劣勢のこの状況ではプレイすることも出来ません。しかたなくプランを更新しますが、状況を打開するカードが現れなかったため、迎撃に必要な最低限のエネルギーを残して生田さんは優先権を放棄します。
そして9ターン目、入江さんは一気に勝負を決めにかかるかと思われましたが、相手は何といってもトロール・ヴァレー。「妖魔の預言者」を前進させただけで優先権を放棄します。生田さんも相手がエネルギーを残している以上、うかつな動きは敗北に直結すると判断したのでしょう。そのままスマッシュを受けてターンを終了します。
もはや一刻の猶予もなくなった生田さん。しかしプランの女神は生田さんに微笑みます。まず、プランから現れた「トロール流砲撃術」が妖魔の預言者を焼きます。そして、次のプランで現れたカードは・・・「シャドーソウル」。一度は手放した逆転の切り札がプランから姿を現した時、勝負の行方は決したと言っても過言ではなかったでしょう。
2体の「キラー」が移動して「カオスビースト・ゲンブ」と「妖魔の預言者」を破壊した後、スクエアに残ったのは「カオスビースト・グリフィン」のみ。

(1)密林の弧城
(2)カオスビースト・グリフィン
<入江> 被スマッシュ1

<生田> 被スマッシュ5

入江さんは「カオスビースト・グリフィン」で最後の特攻をかけることも出来ましたが、まだ生田さんはエネルギーと手札を残している為、それは現実的な選択肢ではなく、プランから「象砲手バルカン」をプレイしたのみで優先権を放棄して立て直しを図ります。生田さんもプランは捲るものの有効なカードは現れずエネルギーを残したまま優先権を放棄します。

【終盤:11〜15ターン】
 11ターン目、2体のユニットを用意できた入江さんは攻撃を仕掛けます。しかし「象砲手バルカン」が「エリザベス」に除去されて「カオスビースト・グリフィン」も「フェザー」に迎撃されてしまいます。ここで入江さんは切り札である「エメラルド・ソウル」をプレイしますが、生田さんの手には先程のプランから手にした「シャドーソウル」がしっかりと握られていました。
そして生田さんのターン。1体もユニットのいなくなったスクエアにプランから「幽鬼の谷」が配置され、魔のサイクルが始まったのでした。
その後は、まるで準決勝の再現を見ているかのような展開になり、入江さんのユニットが一方的に倒されていきます。そしてすべてのユニットが焼き尽くされ、ライブラリまでもが尽きた入江さんは15ターン目に投了を宣言したのでした。

ほとんど勝利を手中に収めていながら1本目を落としてしまった入江さん。サイドデッキに逆転を託します。

「2本目」
【序盤:1〜5ターン】
 2本目、入江さんは思うようにプランが噛み合わず、2ターン目に「カオスビースト・グリフィン」、4ターン目に「密林の弧城」を手札からプレイしたのみに止まります。
一方、生田さんは2ターン目に「失恋の痛み」をプレイしたのを皮切りに、3ターン目に「キラー」、4ターン目には「ライトニング・スナイパー」をプランからプレイする上々の立ち上がり。
5ターン目、プランから「いばらの森」をプレイした入江さんはまだユニットを並べている段階。対する生田さんは「キラー」を前進させて「カオスビースト・グリフィン」を倒した後、プランから見えた冥界の門でキラーを復活させます。

【中盤:6〜7ターン】
 6ターン目、このままではプランからユニットを並べる前に幽鬼の谷が出現してしまうと思ったのでしょう。入江さんは「いばらの森」を敵陣まで前進させて「ライトニング・スナイパー」を倒した後にスマッシュ。プランからではなく手札からユニットをプレイすることで何とか攻めきる作戦に出ます。対する生田さんは「冥界の門」を使用して「ライトニング・スナイパー」を復活させます。リリース状態でスクエアに置かれることを利用して「ノヴァ・コマンド」を使用し自陣に居座る「いばらの森」を除去した後プランから「エリザベス」をプレイします。エネルギーを使い切った生田さんに対して入江さんは残しておいたエネルギーから「キューティ・バニー」をプレイして次の自分のターンに更なる攻撃を仕掛けます。
 7ターン目、攻めると決めたらもはや迷いなどいりません。入江さんは「キューティ・バニー」をひたすら移動させて「エリザベス」と「ライトニング・スナイパー」を踏んだ後、エネルギーと手札を残した状態でさらにスマッシュ。これでスマッシュを4として生田さんにプレッシャーをかけます。

(1)密林の弧城
(2)兎娘キューティ・バニー
(3)殺意の魔煙キラー
<入江> 被スマッシュ1

<生田> 被スマッシュ4

 入江さんの必死の攻撃もたった1枚のカードが出ないことを祈ってのものだったのでしょう。しかし、スマッシュを受けてエネルギー十分な生田さんは満を持して手札から「幽鬼の谷」をプレイします。そして、手始めに「トロール流砲撃術」で「キューティ・バニー」を倒して魔のサイクルがスタートしてしまったのです。

【終盤:8〜9ターン】
 8ターン目、前のターンに手札から「象砲手バルカン」をプレイした入江さんは一縷の望みを託してバルカンで攻撃を仕掛けます。密林の弧城の効果で8000までパワーアップしたバルカンはさすがに強力でスマッシュを与えることに成功します。これでスマッシュは6点になりあと1点・・・。生田さんがバルカンの除去にてこずるようだと後続のユニットで止めを刺すことが出来ます。
 しかし、生田さんのプランからは「シャドー・ソウル」が登場。本来なら「トロール流砲撃術」と1体のユニットをプレイして初めて除去できるはずのパワー8000の「象砲手バルカン」がたった1コストの「キラー」で除去をされてしまいます。入江さんはもはや絶望的な状況と分かっていても攻撃を止める訳にはいきません。「キューティ・バニー」をプレイして最後の攻撃を仕掛けます。そんな最後の攻撃を生田さんは「幽鬼の谷」上にある「キラー」からの「トロール流砲撃術」で防いだ後「冥界の門」から「エリザベス」をプレイします。

(1)密林の弧城
(2)戦虎タイガーアイ

(3)夢見る人形エリザベス
(4)幽鬼の谷
<入江> 被スマッシュ3

<生田> 被スマッシュ6

 そして自分のターン、生田さんは「フェザー」の中央投下による「冥界の門」回収から「ライトニング・スナイパー」をプレイして、2体のユニットを敵陣まで前進させます。
これが、生田さんが100万円を手にした瞬間でした。

5.おわりに
 GP2が終わってからの3ヶ月間、数多くのプレイヤーが様々なデッキをテストしてきました。しかし頂点に立ったのはGP2の時と同じ、いや仲間たちの絆により新しい力を得てパワーアップして帰ってきたトロールヴァレーでした。様々な要因があったとはいえトロールヴァレーは使うのが決して簡単なデッキではありません。恐らく生田さんはこの3ヶ月間、誰よりもトロールヴァレーの練習を積んできたのでしょう。おめでとうございます生田さん!!
最後になりますが、本レポートを書くに当たって参考にしたオフィシャルを始めとする各ディメンション・ゼロサイトの管理者の皆様、そしてこんな長いレポートに最後までお付き合い頂いた皆様に改めて御礼を申し上げます。

それでは、日本選手権でお会いしましょう!!



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