日本選手権2006決勝トーナメントレポート後編
  ジャッジ兼ライター 前川 勝

3.会場で見かけたユニークなデッキ
さて、2デッキ制の賞金大会も今回で2回目と言うことで、前回に比べてもA、Bそれぞれにどの様なデッキを用いるかという戦略性においてもより深みが増し、様々なタイプのデッキを見かけることができました。
 しかしながら、やはりそんな中でも「他とは確実に違う!」と目を見張るユニークなデッキと言うものは存在します。今回もそんな敬愛すべき「ローグ(はぐれ者)デッキ」を紹介していきましょう(名称はこちらで勝手につけさせていただいております)。

井上将人さん 「一閃 ツインブレード! スマッシュだ、アー○インパルス!!」

   Aデッキ
 
カード名 枚数
マスター鎌鼬ブレード 20
マスター千手ブレード
閃光の魔炎ビーム
全軍突撃
バードマン・ソウル
小さくて大きな力
バーサーカー・ドラッグ
幸せはすぐ近くにある
ロスト・ワールド

   Bデッキ
 
カード名 枚数
マスター鎌鼬ブレード 17
マスター風車ブレード
マスター心眼ブレード
地雷原の迷宮
ノヴァ・コマンド
トロール流砲撃術
スパイク・ガールズ
シャドー・ソウル
冷徹な覚悟
失恋の痛み

 2デッキ制において多くのプレイヤーが頭を悩ませるのが1種類の強力カードをAかBか、果たしてどちらのデッキに入れれば勝率が高まるだろうか? という点でしょう。そこに頭を悩ませるのが2デッキ制の楽しさの一つでもあるのですが、このデッキはそれぞれにおいてデッキ構築の唯一の盲点を突いてきました。
 そう、「団結」です。通常の3枚制限を超えてデッキに組み込むことのできる団結種族デッキは、今回特に準優勝者が「アメーバデッキ」を使用していたことでその強さと認知度を一気に拡大する事になりましたが、まさかその「団結」をAデッキ、Bデッキ双方で使用してきたのは唯一彼だけです。これは是非ともA、B双方のデッキを紹介することでこそ価値のあるデッキであると言えるでしょう。
 もちろん本選に出場してくるわけですから、これが単なる「団結をとりあえず入れてみました」などというデッキであるはずはありません。Aデッキはスマッシュを強化できる高速ウィニー、Bデッキは火力による相手戦力の徹底殲滅を目的とした勝利を狙えるW団結デッキとして仕上がっています。
 特にAデッキの、早々に手札に来てしまい、エネルギーに置いておいた「マスター千手ブレード」をいざと言うときの勝負を分ける局面で「幸せはすぐ近くにある」でプランゾーンに置き、全ブレードマスターをスマッシュ2の怪物に成長させた時の破壊力やBデッキでの、皆が勘違いしがちな「鎌鼬ブレードは迂闊にプランゾーンをめくってしまうと自分の軍勢が大打撃を受ける」という点(たとえ相手のユニットがいない状況でもプランゾーンを作成してから優先権を放棄せずにプレイすれば、危険性はありません)をしっかりと理解した上でのプレイングはそのデッキレシピを拝謁するだけでありありと伝ってきます。
 前回ではA、Bともに赤単という漢なデッキが存在しましたが、それを超える漢らしいデッキと言えるでしょう!
 現在好評発売中の「暴走!機動要塞」にも新団結カードが収録されており、団結デッキの可能性は広がる一方です。これまで触れたことのなかった皆さんも、これから「団結」デッキに挑戦してみてはいかがでしょうか?
(※ただし、次回、A、B団結計80枚デッキで本選に臨まれても、この項では取り上げませんが)

ところで、世の中には「コピーデッキ」というものが存在します。どこぞの誰かが作ったデッキのデータを元に、手持ちのカードでそっくりそのまま同じデッキを作ってしまうことですね。
その行為もしくはそれを使って試合に出場する、というのは本人の信念の問題ですので、とやかくここで議論をする気はありませんが「コピーデッキ」を使っているあるいは使ったことがあるという人々に「絶対にコピーできないデッキ」もこの世にはあるのだ、ということを本選の場で証明してくれたデッキを紹介いたしましょう。

松本邦夫さん「超プレミアム!! 3色コントロール」

 
カード名 枚数
ブロンズキッド・ドラゴン
ステルス・スナイパー
真夜中の狩人ミュラー
イビルアイ・ドライバー
グレン・リベット
花束を捧げる乙女
犬闘士チワワ
月夜の美姫ミラーカ 8/10
惜別のジェミニ 5/10
レディ・アマリリス 6/10
ドラゴンの洞窟
幽鬼の谷
呪われた館
トロール流砲撃術
真昼の決闘
絨毯爆撃
サキュバスの吐息
失恋の痛み
真夜中のダンスパーティー
絶望の連鎖
神々の雷

 このデッキ、上から見ていくだけではよく巷で見かける3色プランコントロール型のデッキです。それ自体はもちろんちゃんと機能するでしょうし、それに応じた勝率を叩き出してくれるでしょう。しかし、当然の事ながら驚くのはそのデッキ構成ではありません。このデッキレシピの最後にひっそりと仕込まれた究極のプレミアムカード「月夜の美姫ミラーカ」「惜別のジェミニ」「レディ・アマリリス」が、すべてシリアルナンバー入りの世界に10枚しか存在しないカードが一つのデッキの中で奇跡的な巡り合いと調和を見せていることです!
 この中でも特に「ミラーカ」は未だ10枚すべての所在は判明していないばかりか、ファースト・センチュリーベーシックパックの初版にしか封入されていないため、最早今から入手することは不可能と言っても過言ではないレベルのプレミアを誇るカード。それに加えてセカンド・センチュリーの超プレミアカードである「惜別のジェミニ」と「レディ・アマリリス」までをも揃えて投入するとは……その時価総額は明らかに会場に存在したすべてのデッキをはるかに凌駕する超高級デッキであり、これらのカードを目にした対戦相手はプレイされる度にその目を疑ったことでしょう。
 戦略的にも「ミラーカ」はコントロールデッキには足りなくなりがちなパワーとスマッシュを供給し、「惜別のジェミニ」はいざと言うときの一撃必殺の弾丸となります。「レディ・アマリリス」に関しては存在するだけで相手のパワーを減退させるコントロールデッキとの抜群の相性でプレミアムカードを単なる飾り物にはしない、プレミアムカードのために3色コントロールを選んできて見せたと言えるでしょう。
 そりゃ多くの対戦相手を驚かせるためにこのデッキをAデッキに配置してくる気持ちも分かろうというものです。そこまでの努力を考えれば、決してその行為を否定することはできません。
 今後、彼のデッキを超えるとすれば、それは驚愕のプレミアムカード3枚投入デッキしかありえない!?

 ともあれ、次回のグランプリでも私達の度肝を抜いてくれるようなデッキに出会えることを楽しみに待っています。


4.カードは曲げてはいけません!!
 最後に、今回に限ったことではありませんが、常にデュエル以外で勝敗が決してしまう場面、つまりはフロアルールに抵触する行為でジャッジの判断によってゲームの敗北やマッチの敗北を受けてしまうと言う事例が少なからず存在します。
 せっかくの真剣勝負の場において実力を発揮せぬまま、勝敗が決してしまうのはプレイヤーとしてはもちろんトーナメントを見守る我々としても心苦しいものであります。それ故、未然に防ぐことができるミスは大会前にチェックしていこうと言う意味を合わせまして本項を記させていただきます。

 俗に「シャカシャカ」と言われている手札をシャッフルする行為は今現在、他のプレイヤーに迷惑をかけるほどはなはだしいものでなければ、行為自体を禁止するルールは存在しませんし、カードをプレイする際、どんなにそのカードを強く握り締めて場に出そうともルールに触れることはありません。
 しかし、それらの行為によってカードが変質してしまっては話が別です。
 上記の行為はそれ自体に罪はなくとも「カードを傷つける」可能性を秘めています。それによって万が一「カードが曲がってしまった」ら……。
 ディメンション・ゼロのフロアルールには以下のようなルールが定められています。

2.識別できるカードの使用禁止
(フロアルール第3部:違反行為と罰則に関する規定―第3章より抜粋)

適応される罰則:さまざま。故意の場合は<受賞資格の剥奪>
プレイヤーは、自分のカードおよびスリーブを、印のない、区別の付かない状態に保たなければなりません。カードの表を見なくても何らかの形でカードに見分けがつく場合、そのカードには印があると判断されるべきです。
プレイヤーのカードがスリーブに入っている場合、スリーブもカードの一部と見なされるので、スリーブに入っている状態で判断します。
プレイヤーのデッキ内のカードに印があるかどうかを判断する権限は、ジャッジおよびヘッド・ジャッジが持ちます。
すべてのプレイヤーは、普段よりカードを丁寧に取り扱い、カード、スリーブとも事前にシャッフルしてからカードを入れるなどをして、系統立った印ができる可能性を無くすよう、努めなければなりません。
「印があるカード」は、以下のような例が挙げられます。

例1)キズ、変色、反りなどがある
例2)製造ミスにより区別が付く場合
例3)書き込みがされている

この違反は過失か故意により、与えられる罰則が大いに異なります。過失であった場合、<注意>から<警告>、もしくは<デュエルの敗北>が妥当です。有利になる可能性が小さい場合、プレイヤーはカードもしくはスリーブを交換して<警告>の罰を受けた後、プレイを進めることができます。有利になる可能性が高い場合は、<デュエルの敗北>が適応されます。以降の試合を続ける際には、カードやスリーブを交換すべきです。

 例にも示されている通り、カードの曲がりは「識別可能なカード」と判断される可能性があります。これはもちろん過失によって曲がってしまっている場合がほとんどであるとは思いますが、だからと言ってその曲がりを認めてしまった場合、特定のカードに印をつけ、実際にプレイの際に有利になるようなイカサマ行為を行っているプレイヤーを罰することができなくなってしまいます。
 プレイヤーはプロアマ問わず、このルールが何のために制定されているのかを考え、自らがイカサマ行為を行っているという疑いをかけられたくないと望むならば、大会の前にはデッキの内容とともに以下項目もしっかりとメンテナンスすることをお勧めいたします。

1、曲がったカードは新品に。

 既に曲がってしまっているカードに関しては、今さら後悔しても遅いです。スリーブを交換する程度で矯正される曲がりならば問題ありませんが、スリーブごと思いっきり曲がってしまっているカードを大会に持ち込むのは明らかに「自分を疑ってくれ」と宣言しているようなものです。
もし、あなたのカードが、修復が不可能であるほど曲がってしまっている場合は新品同様に曲がっていない同名カードを用意しましょう。

2、スリーブも新品。それも同じ袋に入っているものに交換する。

 カードゲームにおいて、最早カードを傷つけないための必携品とも言えるカードスリーブ。しかしながら、このスリーブも練習やシャッフルを繰り返すうちに細かい傷や汚れがついてしまう消耗品でもあります。
 使い慣れたスリーブで大会に出たいという気持ちも分かりますが、それで不本意な疑いをかけられては本末転倒です。是非とも大きな大会の前にはスリーブを交換することをお勧めします。
 なお、同じ色のスリーブでも、製造工程段階で高さなどがばらけてしまう可能性がありますので、同じ袋に入ったスリーブをセットで使いましょう。

3、普段からカードが曲がるような扱いをしない。

 そして、前の2項目よりもさらに重要なのは「普段からカードを傷つけない」ことです。
せっかく自分のお金をかけて集めたカード達です。バラバラに切り刻んだり、メラメラと燃やしたりする人はまさかいないでしょう。
 ならば、何故「カードを曲げる」という、同様にカード達を傷つける行為を行うのでしょうか?
 ディメンション・ゼロはルールに則ってカードを動かせば、カードが傷つくようなことは決してありません。
 「自然に曲がる」ということはありえず、曲がってしまうと言うならばそれはあなた自身が進んで勝手にカードを傷つけているのです。
 筆者もカードゲームに携わる者としてカード達を愛する1人です。故にカード達が第三者の手によって傷つけられる行為は見ていて悲しいものです。
 事実、曲がったカードを使っているプレイヤーもいきなり誰かが自分のカードを傷つけたら怒り出すことでしょう。であれば自身も、たとえ自身の財産であってもその様な行いは慎むべきです。

 各人がカードを愛し、大会が純粋に技術の修練を競う場になり、今後不正の温床になりかねない行為によって罰則を受けるプレイヤーが少なくなっていってくれることを願い、今回は筆を置かせていただきます。


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