池っち店長のグランプリ5レポート最終回
グランプリ-6-に向けて!勝つために必要な考え方とは?!
こんにちは。池田です。

グランプリ6予選がヒートアップしている最中ですが、今更グランプリ5のレポートに意味があるのでしょうか?

イエス。

メタゲームの情報なら、予選突破デッキのレシピを分析すればよろしいでしょう。
(実は白単がかなり抜けてきていますよね)

僕としては、いまだに熱く記憶に残る、グランプリ5決勝トーナメントのレポートから、メタゲームなどと言う「水物」ではない、真剣勝負で勝つために必要な何かをお伝えしたい!と思っています。

さて、前回の「流氷VSレアブラスター」では、火花が飛び散るほどのかけ引き、読み合いの熱さをお伝えさせて頂きました。

今回の決勝戦・・・生田プロVS下山プロの戦いでは、「勝つ人間は、勝つべくして勝つ」という事をお伝えできれば・・・と思います。

それでは、本文です。


○対戦前の真実。下馬評は下山圧倒的有利?!

「勝つのは下山プロでしょう。どう考えても・・・デッキ相性が悪すぎる。」

決勝戦直前、僕が周りの人々に聞いてみたところ、帰ってきた答えのほとんどがこれでした。

普通、こうした質問には

「いや、わからんぞ。理由はこれこれこう」

という「対抗意見」か「中道意見」が出てくるものなのですが、この時は皆相槌を打つか、「下山有利」の理由をさらに分析する意見が出るばかり。

それほどに戦前の予想・・下馬評では、「下山有利」と見られていました。

優勝したのは生田プロである。それがわかっている今だからこそ、そうした下馬評が「間違っていた」と見えるのですが・・・・さて、果たして本当に「間違っていた」のでしょうか?

ここでひとつの事実を明かしたいと思います。

決勝戦直前、僕が上記の質問をした相手は・・・決勝トーナメントのほかのメンバーであったという事を!

決勝トーナメント出場者8名中、僕が直接意見を求めた少なくとも、4人が、「下山有利間違いなし」とのコメントを残しています。

「デッキ相性だけでなく、彼には勢いがある。」「AとBの相性も有利に噛み合っているね。」

そしてもちろん、僕もそう考えていました。

予測が間違っていた事を恥じるべきなら、僕も全く同じです。しかし。

本当に間違っていたのでしょうか?
グランプリの頂点での戦いに到達した者たちの分析が?僕達がアホだったと?

最終的に生田プロが勝つ。その事実に到達する前に、軽くデッキの分析を行い、相性問題を知った上で・・・・

「にもかかわらず、なぜ生田プロは勝つことが出来たのか?!」

を考えてみたいと思います。

○データ1・下山プロのデッキ

※デッキ名については当日、下山プロの了承を得ています。
Aデッキ デッキ名:ゴドルフ
弾数 カードNo カード名称 枚数
メインデッキ
■黒 ユニット
I-2 033 幻影王ルドルフ 2
I-4 027 イビルアイ・ドライバー 3
II-1 041 殺意の魔煙キラー 3
II-1 065 時空を歪める者シュレーゲル 3
II-2 028 シャウトする人形ナオ 2
■黒 ベース
II-2 037 禁断の病棟 2
■黒 ストラテジー
I-1 080 冥界の門 1
I-3 040 真夜中のダンスパーティー 2
■青 ストラテジー
I-2 056 バードマン・ソウル 3
■緑 ユニット
I-2 093 大巨人ゴッドファーザー 3
II-1 162 兎娘キューティ・バニー 2
II-1 176 妖魔の勇者 3
II-2 089 スキップするフェアリー 3
■緑 ベース
I-1 187 大地の塔 3
■緑 ストラテジー
I-1 200 生命の門 3
I-4 105 小さくて大きな力 2
合計枚数 40

いわゆる“ゴドルフ”ですが、実はかなり個性的な構成。
【大地の塔】を使ったエネルギーブースト型ですが、【禁断の病棟】も入っており、【スキップするフェアリー】によるエネルギーブーストも出来るようになっています。

それに加え、【シャウトする人形・ナオ】をも2枚投入、「ベースを出す事前提」という “暴走!機動要塞”のカードを積極的に活用した、オリジナリティー溢れる“ゴドルフ”と言えるでしょう。

【大地の塔】の餌にもなる【キラー】と、足を止める【妖魔の勇者】が速攻デッキの進撃を阻害します。【イビルアイ・ドライバー】【ナオ】の除去能力も時間稼ぎに貢献しています。

グランプリ5をAデッキに赤系速攻の多い大会、と読んで速攻メタを行った、「グランプリ5仕様」の構成と言えるでしょう。

Bデッキ デッキ名:ザ・カードパワー
弾数 カードNo カード名称 枚数
メインデッキ
■赤 ユニット
I-3 006 シルバーワイズ・ドラゴン 2
I-4 007 ステルス・スナイパー 3
II-1 025 カオスヘッド・ドラゴン 3
■赤 ベース
I-3 015 ドラゴンの洞窟 2
■赤 ストラテジー
I-2 020 メガトン・パンチ 2
I-3 020 絨毯爆撃 3
II-1 031 トロール流砲撃術 1
■青 ユニット
I-1 083 濃霧の魔氷フォッグ 2
I-4 047 センチネル・センチピード 3
II-1 081 粉雪の魔氷パウダースノー 3
■青 ベース
II-1 109 流氷の大陸 3
■青 ストラテジー
I-3 058 クラーケン・クラッシュ 2
I-4 057 欲望の連鎖 3
II-1 111 サイバー・チェイス 3
■白 ユニット
I-4 067 花束を捧げる乙女 3
II-1 146 犬闘士ケルベロス 1
■白 ストラテジー
II-1 155 神々の雷 1
合計枚数 40

下山プロ曰く、

「強いカードばかりのまさに『カードパワーで無理矢理勝つデッキ』ですよ(笑)。」

という事ですが、なかなかどうして使いこなすのが難しい、テクニカルなデッキ。

2枚投入された【クラーケン・クラッシュ】はズバリ、【カオスヘッド・ドラゴン】の決め撃ち。
【流氷】を張った後はそのラインでは使えなくなる【ドラゴンの洞窟】や、たった1枚だけ投入された
【トロール流砲撃術】など、限りなくピーキーな構成となっています。

正体は、あえて言うならば

「3色除去プランデッキと流氷デッキのチャンポン」

です。が、「どっちつかず」を「どっちとしても使える」ようにするには、言うまでもなくハイレベルなプレイ技術、相手の動きの読みが必要です。

A、Bデッキ共に「たら、れば」のシナジーが幾つか仕込まれた多少の使いにくさのあるデッキです。

これで決勝に来ている下山プロは、そうしたデッキを使いこなす“馬力”のような物があると言えるでしょう。
 
○データ2・生田プロのデッキ

Aデッキ デッキ名:ザ・名古屋ウィニー
弾数 カードNo カード名称 枚数
メインデッキ
■赤 ユニット
I-4 007 ステルス・スナイパー 3
II-1 003 夜を照らす灯チュプ 3
II-1 006 魔甲バイク餓狼 3
II-1 019 爆砕の魔炎バーン 3
II-2 007 不言のカペラ 3
■赤 ストラテジー
I-2 019 ノヴァ・コマンド 2
■青 ストラテジー
I-4 103 バードマン・ソウル 3
■緑 ユニット
I-1 168 大巨人クレーター・メーカー 1
I-2 086 蜘蛛の巣をまとうフェアリー 3
II-1 164 幻惑のフェアリー 3
II-1 171 象砲手バルカン 3
II-1 176 妖魔の勇者 3
II-2 087 タマゴ・ドリアード 3
■緑 ストラテジー
I-4 100 バーサーカー・ドラッグ 1
I-4 105 小さくて大きな力 3
合計枚数 40

D0最初期から“赤緑速攻”を研究し続けてきた「名古屋」が生んだ、グランプリ5時点での究極系ビートダウン。磨き続けられた矛、それがこの名古屋ウィニーです。

このコラムを読んでいる方には今更言うまでもない事ですが、ディメンション・ゼロというゲームは守るよりもはるかに攻め込む事の方が、高いプレイング技術を要求されます。

一見、「何となく早そう。勢いありそう」なこのデッキレシピにも、とてつもない量の理論、ノウハウが詰め込まれています。「あれが入っていない」「これが入っていない」のにも、全て理由があっての事でしょう。

そう考えてみてみると・・・何とも味わいのある構成です。速攻でありながら【蜘蛛の巣を纏うフェアリー】が入っている辺りなど。

とりあえず言えるのは、【不言のカペラ】【タマゴ・ドリアード】が3枚ずつ入っている事から、このデッキは何が何でも、常にスマッシュでリードし続けなければならないという、

「ブレーキなど最初から無い!俺は最初っからクライマックスだぜ!!」

というデッキであることでしょうか。
 
Bデッキ デッキ名:サイレント・ラヴァー
弾数 カードNo カード名称 枚数
メインデッキ
■黒 ユニット
I-4 027 イビルアイ・ドライバー 3
II-1 052 魔少年ダミアン 2
II-1 060 溺愛の魔煙ラバー 2
II-1 065 時空を歪める者シュレーゲル 2
■黒 ベース
II-2 034 陽気な森 3
II-2 035 陽気な幽霊屋敷 3
II-2 036 陽気な墓場 3
■黒 ストラテジー
I-3 040 真夜中のダンスパーティー 2
II-1 074 失恋の痛み 2
II-2 040 因果律の抜け道 2
■白 ユニット
I-4 067 花束を捧げる乙女 3
II-1 121 グレン・リベット 3
II-1 129 犬闘士チワワ 2
II-1 134 犬闘士フェンリル 3
II-1 146 犬闘士ケルベロス 2
■白 ストラテジー
II-2 080 サイレント・ナイト 3
合計枚数 40

【溺愛の魔煙ラバー】がバトルに勝利(因果律の抜け道がバトルタイミング!)し、【サイレント・ナイト】を墓地から回収。
何度も繰り返される【幽霊屋敷】の破壊と再生・・・・

最終的に発動する“ケルベロス・エンジン”。

多くの人間がこのデッキを見て、
「ああ、“屋敷コントロール”だな。」
と考えました。

それは正しく、そして間違っていたのです。

○Aデッキ対決 下山・ゴドルフVS生田・名古屋ウィニー

「下山プロの“ゴドルフ”は、Aデッキに速攻系の多いこの大会において勝ちあがってきた“ゴドルフ”。速攻対策は十分に取られているはず。」

「対して生田プロのデッキはビートダウン。特別に早いわけではなく、【ニトロカタパルト】のような奇襲性も無い。【ファーザー】が出るまでに決着を付けるのは難しく、しのがれると突破できないだろう。」

下馬評では、概ねこういった分析でした。

さて、実際の戦いは・・・・・・

予想を上回る、下山プロの「守りの確かさ」が光ります。

果敢に攻め立てる生田プロ。しかし下山プロは、たったの1点のスマッシュすら許しません。通常の戦いでは、スマッシュの1点や2点は序盤に受けても大きな問題は無いのですが、下山プロは、相手のデッキレシピを見てこう考えていたのでしょう。

「序盤に1点のスマッシュを許してしまえば、確実に敗北する!」
と。

【タマゴ・ドリアード】3枚、【カペラ】3枚という極端な構成。実に6枚のカードが、手に負えなくなるほどのパワーカードに化けるかどうか。それはスマッシュ数に掛かっています。
大方の下馬評と違い、誰よりも下山プロ自身がプレッシャーを感じていたはず。

「初手が悪くて、序盤戦のスマッシュを止められなかったら、そのまま負けだ。」

極端に言えば3ターン目。生田プロの2コストユニットが前進してきて、そのスマッシュがもし通ってしまったら・・・・その時点でこの闘いの趨勢は決まっていたと言えるでしょう。それほどのタイトロープ。

そして下山プロは・・・序盤、中盤を完璧に無傷で凌ぎきりました。

【タマゴ】【カペラ】両方の進軍に対し、すでに8エネルギー以上に達していた下山プロは【シュレーゲル】を中央投下。その両方を殲滅します。

試合を観戦していた誰もが
「ここまで凌がれたら・・・あとは“ゴドルフ”の時間だ。」
と感じ始めました。


生田プロ、【妖魔の勇者】を中央エリアへ前進。
対して下山プロ、スタックして同ライン上、自軍エリアに同じく【妖魔の勇者】をプレイ!このままでは踏む!
生田プロ、移動スタック【ノヴァコマンド】!相手の【勇者】を破壊!
そのまま【勇者】を横移動。下山プロの【イビルアイ・ドライバー】を踏む!対して下山プロ、スタックして【大地の塔】をプレイ!【ドライバー】はエネルギーゾーンへ!

絶対にタダでは死なない、やりたいようにはやらせない、プロ同士の息詰まる闘い。
観戦者の誰もが試合の映るモニターに釘付けです。

そしてついに下山プロ、【生命の門】から【大巨人ゴッドファーザー】をプレイ!フリーズさせて中央に【シュレーゲル】を出し、生田プロの【カペラ】を1体墓地送りにします。

 
 
この時点で下山プロスマッシュ1点。生田プロスマッシュ2点。
誰もが決着が付いたと考えた次のターン!!

プラン【バードマン・ソウル】
プラン【バードマン・ソウル】
プラン【バーン】【バーン】プレイ。
【バーン】2歩移動。【勇者】2歩移動。
【小さくて大きな力】
【蜘蛛の巣を纏うフェアリー】1歩移動。

一挙6点スマッシュで勝利!!

誰もが予想しなかった大逆転!!会場中が揺れました!


誰かがつぶやきました。「何て運の良い・・・」

しかし、その言葉に単純に賛同する者は居ませんでした。


“盤上のこの一手”。

他の全ての状況を勘案して考えて……それでも結局この場面はこうするしかない、そういう一手。

生田プロの出した結果は、そうした一手を積み上げてきた結果なのだと、グランプリに出場する多くのプロプレイヤーが、直感的に理解したのです。

相性は確かに“ゴドルフ”にあったかもしれない。下山プロの「凌ぎ」も完璧だった。
狙いどうり後半戦、【ゴッドファーザー】まで無事につなぐ事が出来た。しかもスマッシュ数で有利を維持しつつ。

にも関わらず、エネルギーが全フリーズしたターンのワンチャンスに、生田プロにとって考えられる最強の引きが実際に行われた。

信じていれば引く?あきらめなければ幸運が舞い降りる?
そんなオカルトではありません。

「これが通れば勝てる!」「こう引けば勝てる!」という一手を常に意識しつつ、その道筋がどんなに細くても、確率が低くても、「他に勝つ手段が無い」ならその道を通るしかない。

それを本当に理解し、覚悟して通る者のみが、奇跡のような勝利を手にするのではないでしょうか。

傍から見ればそれは、偶然の積み重なった“幸運”にしか見えないかもしれません。
しかしそれは当人にとっては、

「最初からそれしかなかった。」
「そうなるように積み上げてきた。」
という“盤上のこの一手”の結果なのです。


○Bデッキ対決 下山・ザ・カードパワーVS生田・サイレント・ラヴァー

「どちらもパーミッション型のデッキである。」

「下山のデッキは、速攻やビートダウンにまで対処できるほどの除去能力がある。対する生田のデッキは、攻めに転じたとして下山の守りを突き崩せるほどの突破力は無い。」

「逆に潰しあいになったとしたら、お互いにプランジャーユニットは6枚ずつ。そうなれば【シルバーワイズ】【ドラゴンの洞窟】【カオスヘッド】といった墓地除外のある下山が完全有利。」

「下山が【流氷】を張れば、その上にフィニッシャーやプランジャーを出していく事でいきなり勝つ事もありうる。」

【幽霊屋敷】【ラヴァー】も『ユニット同士の闘い』があってこそ強いもの。パッシブなデッキ同士ではうまく持ち味を生かせないのでは無いか。」

以上、下馬評でした。


さて、実際の戦いは・・・・・

やはり基本、パーミッション同士の闘い。お互い静かな序盤戦です。
「優先権放棄。」
「・・・優先権放棄。」
の宣言が繰り返されます。

しかし実際は、この時点で高密度なかけ引きが行われています。

何を手札に残していくか。
何をエネルギーゾーンに置き、「相手にどう判断させる」か。

事実、ここで握りこんでいたカードが、この戦いの勝敗を分けたのです。

動かない下山プロ(動く必要が無い)に対して、生田プロはプランから少しずつ、【幽霊屋敷】を組み立てていきます。同じパーミッションでも、序盤にやる事がある分ここは“屋敷デッキ”が有利。

しかしプランを更新するたびデッキ枚数が削れます。すなわちそれは、最終的なデッキアウト合戦で不利になるという事。

【屋敷】のパーツは墓地に落としておいても【サイレント・ナイト】で場に出せるため、デッキ枚数が減ってもそれはアドバンテージと言えます。

しかしここで生田プロが、特に躊躇することなく【屋敷】以外のカードも落としてプランをめくり続ければ、それは大きな情報を相手に与える事になってしまいます。

そう。
「デッキアウト勝負は選択しない。必ず殴って勝つ。」
と「決めている」という情報。ワンチャンスに掛けて、殴りかかるつもりで展開している、という情報。

もしそうであれば、下山プロもデッキを使いやすくなります。躊躇せず【欲望の連鎖】等を使い、
「殴ってくると決めている相手」
に対して有効な手札を揃えていくでしょう。

生田プロは絶妙なレベルでプランを操りました。どっちとも取れるような度合いで・・・・しかし無論、下山プロも気付いていました。
「相手は必ずワンチャンスに賭けて来る。」
「手札はできるだけパッシブに揃えておこう」

【チワワ】が出る。
【ステルス】【チワワ】を焼く。
【チワワ】が出る。
【ドライバー】【チワワ】を破壊する。

お互いのこうした動きが続きます。

そしてついに。

【陽気な幽霊屋敷】【陽気な墓場】【陽気な森】が揃います。

 

  さあ、生田プロが動きます。

【イビルアイ・ドライバー】が前進。それに対して下山プロ、落ち着きはらって手札に握りこんでいた【クラーケン・クラッシュ】で、【犬闘士ケルベロス】を投げ付けます。

会場ため息。なるほど、ここで投げるユニットとして【ケルベロス】は最強。ほとんどのユニットとのバトルに勝てるサイズであるばかりか、バトルに勝つ事で能力を使い、生田の心臓部である【屋敷】を破壊する事が出来ます。

しかし、デッキに1枚しか入れていない【ケルベロス】をここで【クラーケンクラッシュ】と共に引き当てているとは!

それに対して生田プロは・・・・

「バトルに入って宜しいですか。では、ダメージスタック前、【ケルベロス】【因果律の抜け道】。」

どよめく観衆!バトルタイミングストラテジーのこの強さ!!

ここから一気呵成!生田、【フェンリル】も前進させ、スマッシュ!
さらに何と、【花束を捧げる乙女】を“手札から”相手ターンエンドにプレイ!この動きは・・・・

そう!最初から彼は、ビートダウンする為の手札を揃えていたのだ!!【因果律】で相手の計算を狂わせるのは、切り込む際の前提条件だった!!

対する下山プロは、やはりここでトップデック。プランから【ステルススナイパー】・・・しかし何と二対一交換が出来ない!!なぜなら【屋敷】等のベースで全てのユニットがパワー5500オーバーだから!!

仕方なく【フェンリル】【ステルス】をぶつけ、効果ダメージとの累積で【フェンリル】を排除する下山プロ。しかし何とそのラインに、今度は【シュレーゲル】がプレイされる!!これはこのまま圧死のシナリオ。いったいいつの間にここまで追い詰められたんだ?!

2点、3点とスマッシュを受けていく中、望みを掛けた下山プロのプランカードは【流氷】【シルバーワイズ】・・・・今まで下山プロを助けてきたトップパワーカード達も、ここではまったく約に立ちません。

全ては・・・・【因果律の抜け道】によって穿たれた隙に、そこに一挙に攻め込むための一手を打ち続けてきた(全て予期して手札に溜め込んでいた)、生田プロのシナリオ通りだったのです。

 

戦いの後、生田プロに僕は質問しました。

「下馬評では完全に下山プロ有利だったんですよ。」

「そうだったんですか?」

「恥ずかしながら相性だけで見ていました。勝ち筋がある、無いではなく・・・。最後の試合は、最初から“攻めるための手札”を集めていたんですね?」

「そうです。デッキレシピを見たときから、それしか勝ち方が無いと思っていましたから。」

盤上のこの一手。
それを積み上げ、勝つべくして、勝つ。

場当たり的に“対処”し続けて、「結果として、勝つ」のではなく、勝利の道筋を思い描き、そこに一歩ずつ楔を打ち込んでいく。

この戦いの結末に、誰よりもシンパシーを感じたのは、ディメンション・ゼロゲームデザイナー、中村聡その人だったのではないでしょうか。

MTGアジアチャンピオンシップ決勝の大舞台、中村聡は明らかに相性の悪いコンボ・デッキ相手に、たった1枚の対策カード【エメラルド・チャーム】を、「引くべきターン」にトップデックし、伝説的な勝利を治め、アジアチャンピオンの称号を得ます。


多くのプレイヤーが口にしました。
「彼は幸運だった」
「あそこであれを引くのは神掛かっていた」
と。

しかしこれも、言うまでも無く“盤上のこの一手”を積み上げてきた結果でした。傍から見て「ここは危険だから一旦待って・・・」という所でも一歩も引かなかったのは、

「一旦引いて今一時的にリスクを回避できても、そこで得たアドバンテージは“勝利に繋がっていない以上意味が無い”。」

と断じるほどに分析が出来ていたからなのです。

道は細く、可能性はほとんど無い。しかし「それしかない!」と理解したらそこに突っ込む。

例えば重病に冒されたとして。

ゆっくりと死を引き伸ばしても、満足に体を動かせない以上何のために生きるのか。
ならば確率の低い手術でも受けて、死ぬか生きるかのどちらかに身を投じる。

そうした判断が出来る人間こそが、傍から見て「奇跡の大逆転」が出来るのでしょう。

さあ、グランプリ6だ。
次はあなたが、その“一手”を積み上げる時です。

(おまけその1。生田プロのデッキ解説)

生田プロ 「名古屋ウィニーに【ニトロカタパルト】が入っていないのは、【ニトロ】を入れるとベースが必要になり、ユニットが少なくなると判断したからです。あくまで【バーン】で決めるのが名古屋ウィニーです。

屋敷デッキでは、【ダミアン】がパワー5000になります。4500のプランジャーに耐えられるので、すなわちパーミッション、ビートダウン、どちらにも使えるユニットとして【ダミアン】が優秀だと見ています。」

池っち店長「下世話な質問ですが、賞金の100万円は何に使いますか?」

生田プロ 「いやあ・・・特に考えていません。」

池っち店長「何かドラマチックな使い方は無いかなぁ。『妹の目の手術に使う』とか。」

生田プロ 「いやいや、そんな妹居ませんし。(笑)」 


(おまけその2。グランプリ5トッププレイヤー達のコメント)

下山プロ「決勝戦のプレイに後悔はありません。」

高橋プロ「敗因、プレイミス6回!みなさん、前日は良く寝ましょう。」

鈴木プロ「デッキ自体に問題は無かったと思うが、Aデッキは“ヘルジャッカル”ではなく使い慣れた“名古屋ウィニー”にすれば良かった。珍しさと面白さで選んで凄い苦戦した。
Bデッキ(レアブラスター)は面白すぎて最高だった。レアを投げろ!圧倒的じゃないか我が軍は!!」

林プロ
解説・テンガロンハットを被り、カウボーイのようなダンディないでたちで会場で目立っていたトッププレイヤーの1人。別名、“ライトスピードペガサスを駆るカウボーイ”。俺が勝手に言ってたんだけど。

「ブル・マスティフから【ライトスピードペガサス】が出せて最高でした。
あのサイズで2移動は破格。本戦でも相手が【流氷】のラインに【シュレーゲル】を出そうとした時にスタックして【ペガサス】でスクエアを埋め、自軍エリアにしか出せないよう追い込めました。D0ってこういう“技”が色々使えて楽しいですね。」

岡西プロ
解説・A赤黒速攻(ほとんど赤単)Bデッキ赤単ブレードマスターという、男らしすぎる構成でグランプリ7位に輝いた、男の中の男。
「別にウケ狙いとかじゃなくて、俺はこういうデッキしか使えないんで・・・。」
と言う岡西プロに、「自分は、不器用ですから・・・」とつぶやく高倉健を見た。
嘘。


トップ8人全員
「選んだデッキの内容に、修正したい所は一切ありません!!」


彼等は、そう言いきれるだけ燃える事ができた。それは羨ましい事じゃないか。




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