ディメンション・ゼロ グランプリ-1- レポート
遊宝洞 中村聡
4. 対戦レポート
 大会運営のお手伝いやデータ分析、テレビの収録などのために終日試合をチェックすることはできなかったのですが、いくつかの試合を拝見させていただきました。折角ですからごく簡単にですがその模様をお伝えしてみましょう。

(1回戦) 本間太陽くん vs 加藤大貴さん
 1月8日に開催された新春メガバトル・トーナメントで私を倒した小学生、本間太陽くんが前日予選を突破したというので最初のレポート先にセレクト。太陽くんは緑黒のコスモクエイク入りクレーター・ミュラー、加藤さんは黒単色のデッキを使用しています。

 観戦している太陽くんのお父さんを発見。少しお話をしてみました。
中村 「いつもお父さんと練習しているんですよね。どちらが強いですか?」
父上 「最初は偉そうに教えていたのですが、最近は息子の方が強いですね。」

 1戦目。先手の太陽くん、2ターン目でプランを確認するとそこには「大巨人クレーター・メーカー」の姿が。当然のようにそれを3ターン目に中央投下、さらには4ターン目にも追加で中央にクレーター作成。太陽くん側としてはブン回りと言っていいスタートです。対する加藤さんは、「スパイク・ガールズ」で手札を破壊しつつ、プランから展開して少しでも序盤のアドバンテージを取り戻そうと試みます。しかし、一気に2つ開いたエネルギー差は簡単に埋まらない上に、太陽くんの鬼引きは止まりません。7ターン目までにはミュラーを経由したクレーター、さらには3枚目に引いたクレーターと徹底的に相手のエネルギーを束縛します。

 もはやアドバンテージを取り戻すのは不可能と判断した加藤さん。一縷の望みをかけて、プランから展開したユニットで攻勢をかけます。これは的確な判断でしょう。しかし、それをあざ笑うかのように太陽くんの手は光り続けます。そう、「大巨人コスモクエイク」の降臨です。そこからは一方的な惨劇でした。いや、エネルギーが完全になくなった所を想像して目をそむけたあなた、惨劇は『そんな生易しいものでは』ありません。

 次のターン、私はコスモクエイクが反復横とびする姿を想像していました。
 2体目のコスモクエイクが出てきました。
 その次のターン、今度こそコスモクエイクが動き始めると思ってしました。
 3体目のコスモクエイクが出てきました。
 加藤さんが必死に太陽くんに5点目のスマッシュを与えた時には、加藤さんのエネルギーはすべてなくなり、3体のコスモクエイクが中央エリアに並んでいました。序盤3体のクレーター・メーカーから始まって、終盤3体のコスモクエイクの絨毯爆撃。これを惨劇と言わずして何と言うべきでしょうか。

中村 「容赦ありませんね(笑)。エネルギーが壊滅するまでスマッシュしませんし。」
父上 「そこは徹底するようによく言ってあります。」

 うわあ、英才教育だ。2戦目も太陽くんの素晴らしいドローとそれを無駄にしないプレイングは衰えず、加藤さんをストレートで下すことになりました。勝利がほぼ確定して、小学生らしく嬉しそうに笑う太陽くんを見てお父さんが一言。

父上 「あそこで笑うようじゃまだまだだ。」

 勝負が完全に決する前に気を抜いたことを指摘したのでしょうか、それとも負けている相手の人の気持ちを気遣ってほしかったのでしょうか。太陽くんの方がどんなに強くなってもさすがは、お父さん。太陽くんは大切なことを教えてもらえることでしょう。こういうお父さんにデュエル相手をしてもらえるのは太陽くんが少し羨ましくなりました。


(2回戦) 有田隆一さん vs 呉恒均さん
 呉さんはディメンション・ゼロの製作発表の頃から個人のサイトでサポートをしてくださっている熱心なD-0プレイヤー。サイトは「ベストオブD-0サイト2005下半期」の優秀賞にも選ばれています。製作発表会などのイベントで何度か対戦したことがあるのですが、私がほとんど負けているしっかりしたプレイヤーさんです。対する有田さんは、マジック・ザ・ギャザリングのトップ・プレイヤー。プロツアーのベスト8に3回も残っている世界的でも最高クラスのプレイヤーです。

 有田さんはコスモクエイク無しのオーソドックスな黒緑クレーター・ミュラー。呉さんは白タッチ黒のペガサスを中心とした攻撃的なデッキです。1デュエル目は、呉さんのペガサスによる攻撃を除去を中心にさばききった有田さんが、2体のバルカンで押し返して勝利します。有田さんが「瘴気の渓谷」の追加などペガサス対策を強化するサイドボードをする反面、呉さんは「冥界の通廊」を追加して通廊ペガサス型にして対抗します。いずれもベースによって闘い方にひねりを加えた形ですが、結果はいかに。

 先手の呉さんが2ターン目から「ソーサーレッグ・ペガサス」をプレイし、次のターンに移動して速攻を挑みます。しかし、有田さんの手札には「瘴気の渓谷」がしっかりと握られており、本来ならばなかなか対処されないはずのペガサスは1点のスマッシュだけで退場を余儀なくされます。呉さんは、別のラインに次のペガサスを送りこみ、ゲームを長引かせないように努力しますが、有田さんのドールたちがその目論見を阻みます。アドバンテージが開きすぎない間に勝負を決めようとスマッシュを積み重ねる呉さん。そうはさせじと守備を固めながら、じりじりと手札差を広げる有田さん。

 最終的には、有田さんが勝機をつかみます。呉さんの手札が1枚まで減ったところで、一気に攻勢に出てツメロ(将棋で言うところの、相手が王手を続けない限りこちらの勝ちという状況に相手を追い込むこと)をかけます。「冥界の門」を求めてプランを更新しますが、答えは否。有田さんの勝利で勝負は決しました。サイドボードしたカードを引けなかった呉さんに対して、「冥界の門」を引かれても次の「瘴気の渓谷」で対応できるほどサイドボード・カードに愛された有田さんが有利に戦えたのかもしれません。

 デュエル中に有田さんが小さなミスをして「また、やってもた!」と叫ぶシーンがありました。そのミスは、エネルギーを置かずにメインフェイズの行動をしてしまうというもの。マジック・ザ・ギャザリングに慣れたプレイヤーの方は、メインフェイズ中に自由にエネルギーにあたるカードを置けるルールに慣れているでしょうから、同じようなミスをしないように注意してくださいね。他にもディメンション・ゼロ以外のTCGに慣れている方は、そのTCGによって色々な癖があるかもしれません。一度調べてみたいものです。


(5回戦) 佐藤貴弘さん vs 古田島泰裕さん
 3回戦からしばらくは、デッキ分布の集計やBS-iで放映されている「D-0グランプリへの道」の収録などで取材を断念。戻って来られたのは5回戦がはじまって時間がたった後でした。途中から拝見したのは、熱心にサイトを更新してくださっている方々の中で、まだベスト8も狙えるラインでぶつかり合っていたお二人の試合。古田島さんのサイトも、「ベストオブD-0サイト2005下半期」の優秀賞を獲得してらっしゃいます。くしくもお二人のデッキはほぼ同キャラ。緑の優秀なユニットでバトルゾーンを制圧しつ、黒のベースやスペルでサポートする緑単色タッチ黒同士の対決です。

 デッキの構成も当然似通っており、引きとプレイング次第でどう転ぶかわからないギリギリの試合が展開されました。何しろ、同じエネルギー域で登場するユニットのサイズは当然ほぼ同じですし、それがぶつかりあった時に使用されるコンバット・トリックも同じです。中央ラインでぶつかりあう「カオスビースト・ゲンブ」に対し、「妖精の風車」と「瘴気の渓谷」と「サキュバスの吐息」のどれを警戒すべきか、ベースがあると読みきったならば、どのラインにそれを「貼らせる」べきなのか…。お二人の頭の中が回転する音が聞こえてきそうな試合でした。

 1戦目を佐藤さんが取った2戦目。局面は最終盤です。
 佐藤さんの猛攻をしのぐ古田島さんが凌ぐ展開。次のターンに負けないならば、攻めあう選択もあるのですが、佐藤さんのプランから「冥界の門」が早いタイミングで登場することを警戒するならば、相手の攻め手である「象砲手バルカン」の処理を優先する必要があります。古田島さんの手札には「カオスビースト・ゲンブ」があり、ぶつけるだけで処理は可能なのですが、古田島さんはプランをめくり、さらに更新します。登場したのは「瘴気の渓谷」。冷静に「瘴気の渓谷」を貼ってからゲンブをバルカンにぶつけます。挙動から手札を読みきっていたのでしょう。佐藤さんの2枚の手札のうち1枚は「サキュバスの吐息」。もし単純にゲンブをぶつけていれば、その時点で完全にゲームは終了していました。

 しかし、完璧なプレイングをしても報われないことがあるのがディメンション・ゼロの辛いところであり面白いところ。佐藤さんの残された手札は「冥界の門」。次のターンに引いたカードをエネルギーに置き、自軍エリアのバニーと、門で蘇らせたバニーの2体が並んで進軍し、1エネルギーもあますことなく使い切ってきっちり7スマッシュ。
 こういうギリギリの攻防を見ると、自分も参加したくなるんですよね。

 決勝トーナメント前に行なわれた最後の試合である6回戦は、次に控えたセレモニーの準備のために拝見することができませんでした。


 次回のレポートは、ベスト8の試合をご報告いたします。



Dimension-Zero Official Home Page © BROCCOLI